家賃保証会社に影響?~追い出し条項に最高裁判決~ | 誠和不動産販売株式会社
家賃保証会社に影響?~追い出し条項に最高裁判決~
著:金成 明洋 2023年3月更新
著:金成 明洋 2023年3月更新
1. はじめに
賃貸住宅の借主が家賃を2ヶ月以上滞納するなどした場合に、部屋を明け渡したとみなす家賃保証会社の「追い出し条項」の是非が争われた訴訟の上告審判決が昨年12月12日、最高裁第1小法廷でありました。裁判長は「消費者の利益を一方的に害する」と述べ、消費者契約法に基づき条項の使用差し止めを命じる初判断を示しました。借主の保護を重視した判決で、不当契約の抑止につながるとみられます。
2. 何が問題だったのか
問題となったのは、家賃保証会社(東京)が借主との間で結んだ保証契約の条項です。「家賃を2ヶ月以上滞納した」「連絡が取れない」――といった場合に部屋を明け渡したとみなす内容で、保証会社などは家財道具を運び出すことができました。
同小法廷は、賃貸住宅の貸主と借主が結ぶ賃貸借契約は双方の信頼関係に基づく継続的契約だと指摘。契約が解除されれば、借主が生活基盤を失う重大な事態を招きうると述べました。
その上で、保証会社は賃貸借契約の当事者ではないのに、その一存で借主が部屋を使う権利が制限されるのは「著しく不当だ」と言及。「条項は借主と保証会社との間に見過ごせない不均衡をもたらすものだ」として差し止めを認めました。
3. まとめ
追い出し条項は「入居者を家から物理的に追い出す規定」であるため、入居者の生活基盤が失われてしまいます。
行き過ぎた保証会社の契約内容に歯止めがかかるため、良い判決と言えますが、不動産オーナーとしては、「入居者が家賃滞納をしないかどうか」をより精査する必要性が生じたと言えるでしょう。
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