住宅資金贈与の非課税措置が2年延長 | 誠和不動産販売株式会社
住宅資金贈与の非課税措置が2年延長
著:金成 明洋 2022年5月更新
著:金成 明洋 2022年5月更新
令和4年度税制改正にて、親や祖父母からのマイホーム購入・取得資金の贈与を受けるときの贈与税非課税措置が2年間延長されました。今回のコラムでは、改正のポイントと非課税措置を受ける条件について解説します。
1. 住宅資金贈与の非課税措置とは
親や祖父母からマイホームの購入や建築、増改築に使う費用を贈与された場合、要件を満たせば贈与税が非課税になる制度です。通常、年間110万円を超える贈与には贈与税が課せられますが、この特例を使えば親や祖父母からマイホーム購入資金を援助してもらえます。援助してもらえる家庭にとってはマイホーム購入を後押しする制度でしたが、元々この制度は令和3年12月31日までの特例措置でした。それが今回の税制改正により、2年延長されることになりました。
2. 主な改正ポイントは4つ
① 適用期間の延長
住宅資金贈与の非課税措置は元々2021年12月31日までの措置でしたが、適用期限が2年延長されて2023年12月31日までになりました。
現行制度:2021年12月31日まで ⇒ 改正後:2023年12月31日まで
2年延長されたことで引き続き贈与を受けやすくなっているものの、非課税額や対象物件の条件などが変更になっているため、留意が必要です。
② 非課税額の変更
適用期限が2年延長されたものの、贈与税の非課税枠は以下のとおり縮小しました。
上記のとおり、それぞれ500万円ずつ非課税額が減少しています。 非課税額を超える贈与には贈与税が課されるため、贈与税の負担が気になる人は、年間110万円以下の金額を数年に分けて贈与してもらう方法もあります。
例えば、マイホーム購入年は500万円の贈与を受け、次の年から毎年100万円ずつ贈与してもらう、という方法です。
③ 対象物件の条件変更
非課税枠と同時に、対象物件の条件も以下のとおり変更されました。
贈与の対象になる中古住宅について、今までは築年数20年以内(耐火建築物は25年以内)という条件がありましたが、廃止されました。2022年以降は1982年1月以降の新耐震基準適合住宅の購入であれば、贈与の対象となります。
中古住宅のリノベーションを考えていて、購入・増改築費用の贈与を受ける場合は、条件についてよく確認しておきましょう。
④ 贈与を受ける人の年齢引き下げ
2022年4月1日より、贈与を受ける人の年齢が20歳から18歳になります。
これは正式には2022年度の税制改正ではなく、成年年齢引き下げによる変更です。今までは民法で日本の成年年齢は20歳と定められていましたが、民法が改正され、2022年4月1日から成年年齢が20歳から18歳に引き下げられます。 他の改正とは異なり、年齢変更があるのは2022年4月1日からです。
3. 住宅資金贈与の非課税措置で贈与を受ける条件
住宅資金贈与の非課税措置で贈与を受けるためには、いくつかの条件を満たさなければなりません。マイホームの建築・購入・増改築費用を贈与してもらう際は、以下「贈与を受ける人の条件」と「物件の条件」を確認しておいてください。
住宅資金贈与の非課税特例で贈与を受ける人の条件
● 贈与時、 日本国内に住所 があること
● 贈与時、贈与する人の 直系尊属 であること
● 贈与時の1月1日時点で 18歳以上であること
● 贈与される年の 合計所得金額が2,000万円以下 であること(40㎡以上50㎡未満の住宅の場合は所得1,000万円以下)
● 贈与される年の 翌年3月15日までに、贈与された金額を全額あてて住宅用家屋を新築・取得・増改築すること
● 贈与される年の 翌年3月15日までに対象の住宅に居住する こと(または、同日以降にその住宅に住むことが確実であると見込まれること)
贈与対象になる住宅の要件
● 日本国内にある 住宅
● 住宅の床面積(登記簿面積)が 40㎡以上240㎡未満
● 家屋の床面積の 2分の1以上を居住用に使う こと
● 新築または中古住宅を取得する場合は以下のいずれかに該当すること
⇒ 建築後使用されていない
⇒ 中古住宅は 新耐震基準に適合 していること
⇒ 中古住宅は一定の書類(耐震基準適合証明書など)を提出し、地震に対する安全性を証明できること
● 増改築する場合
⇒ 増改築工事が一定の工事に該当すること(増改築等工事証明書)の提出によって証明できること
⇒ 増改築工事の費用が100万円以上であること
4. まとめ
親や祖父母からマイホーム購入のための資金援助を受けられるのであれば、住宅資金贈与の非課税措置は非常に有効な制度です。
親や祖父母世代は相続税対策として(※亡くなる前3年以内に行われた贈与は相続税の対象となりますが、住宅資金贈与の非課税措置の贈与は除外されます。)、子や孫世代は不足しがちな住宅資金の贈与を受けられます。
マイホーム購入で贈与を考えている場合は、改正後の要件に気を付けながら、延長期限内に住宅購入することも考えてみてはいかがでしょうか。
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