平成25年税制改正【相続】 | 誠和不動産販売株式会社
平成25年税制改正【相続】
著:金成明洋 2014年1月更新
第1回『相続税増税決定!』にて、2013年3月29日、「所得税法等の一部を改正する法律」が参議院にて可決・成立し、
3月30日に公布され、平成25年度税制改正により、平成27年1月1日以後の相続税等から基礎控除の縮減などの
課税強化される旨を記載しました。
この度の改正は課税強化の一方、贈与税においては平成27年1月1日以後子や孫への贈与の税率が軽減されたり、
平成25年4月1日から平成27年12月31日までの間、教育資金の一括贈与の非課税措置が設けられたりするなどの負担軽減策が
講じられています。
また、改正には相続税負担処置として「小規模宅地等の特例」の適用面積、適用要件の拡充があります。
小規模宅地等の特例の適用面積の拡大(130億円の減収)、未成年者控除・障害者控除の控除額拡大(30億円の減収)などの
減収項目もありますが、基礎控除の縮減(2,570億円の増収)、税率の改正(210億円の増収)などの増収項目の影響が大きく、
相続税全体としては大幅な増収となっています。
以上平成25年税制改正(相続)の概要記載致しましたが、今回は本改正にて最大の相続税負担軽減処置である
「小規模宅地等の特例」について解説します。
◎小規模宅地の特例
①小規模宅地等の特例の見直し
・改正の概要
→特例居住用宅地に係る特例の適用対象面積が240㎡から330㎡へ拡充されます。
・制度の趣旨
→相続税負担軽減処置として、個人の土地所有者が相続税納税のために、自宅をも売却しなくてはならなくなる事を防ぐため、
居住の継続に配慮する観点から、特定居住用宅地等に係る適用面積を240㎡から330㎡まで拡充されました。
一定の要件に適えば、最大330㎡までの部分が8割も評価減できます。
②小規模宅地等の特例の見直し
・特定事業用宅地等※及び特定居住用宅地等それぞれの適用対象面積まで完全併用が可能となります。
※特定事業用宅地等とは相続開始の直前において被相続人等の事業(貸付事業を除きます)の用に供されていた宅地等。
・制度の趣旨
→こちらも①同様に相続税納税のために、自宅の売却及び事業(稼業等)の廃止等となる事を防ぐために拡充されました。
一定の要件に適えば、最大730㎡まで8割も評価減できます。
③小規模宅地等の特例の見直し
・小規模宅地等の特例の適用判定にあたり、二世帯住宅については、構造上の要件が撤廃されます。
・改正の概要
→改正前は二世帯住宅であったとしても、住宅内部で互いに行き来が出来ない構造であった場合には小規模宅地等の
特例は適用できませんでした。
※実務上は玄関別の二世帯住宅の場合、住宅内部で互いに行き来が出来る扉を設置していました。
改正後は完全分離の二世帯住宅であっても小規模宅地等の特例が適用できます。
④小規模宅地等の特例の見直し
・被相続人が老人ホームに入所した場合、老人ホームの終身利用権を取得しても、空家となっていた自宅の敷地について、
小規模宅地等の評価減の適用が認められます。
◎まとめ
先にお伝えした通り、この度の改正にて相続税全体としては大幅な増税となる見込みですが、一部手法によっては税負担を
減額させる事もできます。
「転ばぬ先の杖」相続税対策は事前によく検討し、税負担を最小限に圧縮させる努力をするべきかと思われます。
今回は「小規模宅地等の特例に」フォーカスしましたが、次回は緩和される「贈与税」に関してお届けします。
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