相続した不動産の売却は相続税の申告期限から3年以内がお得 | 誠和不動産販売株式会社
相続した不動産の売却は相続税の申告期限から3年以内がお得
著:金成明洋 2017年1月更新
●相続税額の取得費加算
今回のコラムでは「取得費加算の特例」についてお伝えしていきます。
この特例では、平成27年の税制改正から優遇される度合いが減ってしまいましたが、未だに有効な節税手段ではあります。
では、どのような特例でどのような改正が入ったのか、ですが、簡単な概要は以下の通りです。
改正前は売却した資産が土地の場合には、売却した土地のみならず、相続した土地すべてに対応する相続税も控除されていました。
それでは、上記内容を具体的な例で説明いたします。
相続人のKさんは父親を亡くし、次のものを相続しました。
・土地A相続税評価額4,000万円(父親が亡くなる10年前に3,000万円で購入)
・土地B相続税評価額3,000万円(父親が亡くなる15年前に1,000万円で購入)
・現預金3,000万円
この相続によりKさんが支払った相続税は600万円です。
父親の死亡から3年後に土地Aを5,000万円で売却したとします。
売却にかかった仲介手数料等の経費は180万円です。
通常ならば、売却金額5,000万円-(購入金額3,000万円+経費180万円)=売却益1,820万円となりますから、Kさんが支払う譲渡所得税は、1,820万円×20%(長期譲渡所得)=364万円となります。
これに「取得費加算の特例」を適用してみます。
改正前
売却した土地Aに対する相続税240万円と売却していない土地Bの相続税180万円の合計420万円が売却金額から控除できます。
売却金額5,000万円-(購入金額3,000万円+経費180万円+相続税420万円)=売却益1,400万円となりますから、Kさんの支払う譲渡所得税は、1,400万円×20%(長期譲渡所得)=280万円となります。
改正後
売却した土地Aに対する相続税240万円しか売却金額から控除できません。
売却金額5,000万円-(購入金額3,000万円+経費180万円+相続税240万円)=売却益1,580万円となりますから、Kさんの支払う譲渡所得税は、1,580万円×20%(長期譲渡所得)=316万円となります。
まとめ
平成27年の相続税改正で、減税額は圧縮されてしまいましたが、相続税申告期限から3年超の場合と比べれば未だ有効な節税手段と言えます。相続で取得された不動産のご売却を何れ・・・と考えている方は是非ともご活用ください。