令和元年10月1日から消費税が8%から10%へ-住宅購入への影響は- | 誠和不動産販売株式会社
令和元年10月1日から消費税が8%から10%へ-住宅購入への影響は-
著:金成明洋 2019年10月更新
今回のコラムでは、令和元年10月1日から施行される消費税の増税について、不動産の購入にどの様な影響があるのかを、図解を交えながら解説します。
〇 はじめに 〇
そもそも消費税は1989年に税率3%で導入されました。その後1994年に5%に引き上げ、2012年の野田政権時に2014年に8%、2015年に10%に引き上がる法案が可決成立しましたが、安倍政権となり、2度の延期を経て2019年10月に施行されます。※食品(外食・酒類を除く)は現行の8%の税率が維持されます。
過去増税のタイミングで駆け込み需要、反動減により経済に悪影響を与えた経験からか、この度の増税後は手厚い対策が講じられています。
1.すまい給付金
すまい給付金とは、消費税増税による住宅購入者の負担を緩和するために国からお金を受け取ることができる制度です。
これは、新しく家を建てる時や中古マンション購入の時でも対象になります。
ただし、この給付金を受け取るためには条件があります。まず、購入者の年収がある一定の額よりも低くなければいけません。
例えば、消費税8%の現在は年収510万円以下でないとすまい給付金は受給できません。また、50歳より下の年齢の人は住宅ローンを組んで購入しないと、すまい給付金の受給者の条件から外れます。
購入する住宅にも条件があり、床面積が50平方メートル以上でないと、すまい給付金が受給できません。
まず自分がすまい給付金の受給対象かどうかをしっかり確認する必要があります。
【 すまい給付金の給付額はどれくらいか? 】
すまい給付金は消費税が8%の現在は、収入に応じて最高30万円の現金給付が受けられます。
消費税が10%になると給付額(補助金)はなんと最大50万円に引き上げられ、消費税増税によって、給付額が増加します。
また、すまい給付金が貰える条件にも変更があり、消費税8%の年収510万円以下だったものが、消費税10%の時は年収775万円以下まで対象が広がります。
【 すまい給付金の実施期間は? 】
すまい給付金制度は2年後の2021(令和3)年12月までの制度です。
2021(令和3)年12月までに入居が完了しないと、すまい給付金は受給できないので注意が必要です。
2.住宅ローン減税控除期間の延長
【 住宅ローン減税制度の概要 】
住宅ローン減税制度は、住宅ローンを借入れて住宅を取得する場合に、取得者の金利負担の軽減を図るための制度です。
毎年末の住宅ローン残高又は住宅の取得対価のうちいずれか少ない方の金額の1%が10年間に渡り所得税の額から控除されます。また、所得税からは控除しきれない場合には、住民税からも一部控除されます。
加えて、消費税率10%が適用される住宅の取得をして、2019(令和元)年10月1日から2020(令和2)年12月31日までの間に入居した場合には、控除期間が3年間延長されます。
居住開始時期・消費税率による控除額等は下表でご確認ください。
なお、申請は、住宅ローンを借入れる者が個人単位で申請します。世帯単位ではないことに注意してください。
【 対象住宅 】
住宅ローン減税は、新築住宅だけでなく中古住宅も対象となります。また、増築や一定規模以上の修繕・模様替え、省エネ・バリアフリー改修なども100万円以上の工事費の場合は、住宅ローン減税の対象となります。ただし、省エネやバリアフリーの場合は、別のリフォーム減税(特定増改築等住宅借入金等特別控除)の方が有利な場合がありますので、よくご確認ください。(リフォーム減税との重複利用はできません。)
【 住宅ローン減税シミュレーション 】
3.住宅取得資金の贈与額拡充
一定のマイホームを購入する人が、直系の父母、祖父母から住宅購入資金の贈与を受け、贈与を受けた年の翌年3月15日までにマイホームの引渡を受け、居住用に利用した場合には、現行では最高1,200万円まで贈与税を課さない特例があります。
これが消費税10%に増税後は3,000万円まで拡充されます。贈与税の基礎控除110万円と併せて最大3,110万円まで贈与税が無税になります。
【 現行 】
【 消費税が10%の場合 】
4.まとめ
大きな買い物である住宅は、消費税増税の影響を大きく受けます。
しかし、今回は増税後の手厚い支援策を利用した方が、増税前に購入するよりも得になる可能性もあります。
まずは不動産の専門家に相談の上、しっかりとシミュレーションすることをお勧めいたします。
※本コラムは2019(令和元)年9月の消費税増税確定前に作成しております。