木造建築物の審査省略制度の縮小 | 誠和不動産販売株式会社
木造建築物の審査省略制度の縮小
著:藤原 正英 2024年10月更新
著:藤原 正英 2024年10月更新
2022年6月に「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律」が公布されました。これにより、2025年より建築確認・検査対象の見直しや4号特例の縮小が行われる予定です。
4号特例とは、「審査省略制度」のことで、建築士が設計を行う場合に構造関係規定等の審査が省略される制度です。「4号」とは建築基準法第6条第1項第4号※に定められた木造住宅等が該当することから、木造住宅、共同住宅をご所有の方々に深く関係しています。
※建築基準法第6条第1項第4号:木造の場合、2階建て以下かつ、床面積が500平方メートル以下のもの。ただし、特殊建築物の用途(共同住宅、店舗、集会場、車庫、物置等)で200平方メートルを超えるものを除く。
審査省略制度の対象外となると、家を建てる上で必要な審査や構造計算が増えることから、家が建つまでの期間が長くなり構造強度の補強のために必要な建築資材が増えることで、従来よりも住宅価格が上昇することも考えられます。
また、老朽化した建物の『模様替え』を含む『大規模修繕』などを行う場合にも、省エネ関連の図書が求められ、違反建築物や既存不適格建築物に該当する建物は特に注意が必要になります。
改正前は木造2階建・木造平屋建といった建物は「4号建築物」に区分され、審査が省略されていました。これは建築確認の簡素化や合理化を図ることが目的で、「建築士が設計を行う場合」という条件の下に適用されていました。
しかし改正後は4号が無くなり、「新2号建築物・新3号建築物」の2種類に区分されます。「新2号建築物」は木造2階建や木造平屋建(延べ面積200㎡超)で、審査省略の対象外となります。「新3号建築物」には木造平屋建(延べ面積200㎡以下)が該当し、こちらは審査省略が継続されます。
今回の法改正では、「住宅を含む全ての建築物について省エネ基準に適合すること」も義務付けられます。
杉並区エリアで木造住宅をご所有の方々の多くは、この『新2号建築物』に該当するのではないでしょうか。
「新3号建築物」では従来の4号と同様に「確認申請書・図書」の提出が求められます。
一方で「新2号建築物」は確認申請書・図書の他に「構造関係規定等の図書・省エネ関連の図書」も新たに提出が必要になります。
今回の法改正により4号特例が廃止されることで、省エネ性能が高く、構造上の安全性も高い家が増えることになります。この見直しにより、構造審査を実施する木造建築物が大幅に増え、構造上違法な建築物を新たに生じさせないことが期待されています。
今後、新築や増改築、大規模な修繕・改修をご検討されている方は、ご所有の建物について事前に確認しておくことをお勧めいたします。
お困りのことがございましたらお気軽にご相談ください。
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