土地に歴史あり~地歴の小噺~ | 誠和不動産販売株式会社

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土地に歴史あり~地歴の小噺~

土地に歴史あり~地歴の小噺~
著:誠和不動産販売  2020年4月更新

『人に歴史あり』と言われるように、どのような事柄であっても経てきた年月の積み重ねが独自の歴史として存在します。
今回は、その中でも昨今急激に認知度を上げている『地歴』、土地の歴史について紐解いてゆこうと思います。

 

地歴とは?

 

今我々が何気なく踏みしめている土地は、その昔どのような姿かたちをしていたでしょうか。
ほぼ全域が市街化されている杉並では、どこにいても『住宅地』にいるように思えます。多少アップダウンがあったとしても、只のよくある坂道…そう思っていらっしゃるかもしれません。しかし時代を遡ると、現在は住宅地であったとしても必ずしも昔からそうであったとは限りません。

 

実は何も無い原っぱだった、昔は工場があった、畑が広がっていた、水田だった、川が流れていた…などなど、先祖代々同じ土地にお住まいの方は御先代からそのようなお話を聞いたことがきっとあると思います。
その土地のかつての姿、過去の変遷のことを『地歴』と言います。

 

杉並区を含む23区西部が存在する武蔵野台地は、かつて多摩川の扇状地として平らに削られた後に隆起して、その上に関東ローム層が分厚く堆積することで形成されました。その成因から、台地上では湧水が豊富で小規模な河川や湖沼を数多くみることが出来ます。
杉並区で有名な善福寺川や妙正寺川はその代表的なものです。

 

川の近くは台地上でも一際土地が低く、例えば善福寺川は南阿佐ヶ谷から向かっていくとかなりの落差で坂を下ることになるのですぐに分かります。かつて、善福寺川は川筋がいくつにも分かれた川でした。今でこそ川筋は1本にまとめられ護岸はコンクリートとなりましたが、旧阿佐ヶ谷住宅のあったエリアは川筋と川筋に挟まれた水田が広がっていたといいます。
時代を経て水田は宅地化され、取り残された川筋は暗渠となって、現在は遊歩道にその姿を変えています。



中央左で善福寺川が北東から南へ流路を変えるところでは、青の川筋の何倍もの幅でかつての河原が緑色に広がっていることが見て取れます。この河原とオレンジの台地との境目にはかつての川筋が暗渠としてその面影を遺していますので、是非一度歩いてみてください。

 

地図上で視点を変えると、川などがあったと思えない場所にも緑の帯があることにお気付きでしょうか。
今でこそ姿かたちは『住宅地』ですが、過去に遡っていくとまた違った姿をしていたということですね。

 

地歴は国土地理院の『地理院地図』がWEB上に公開されていて、誰でも簡単に調べることが出来ます。
ご自身のお住まい近くも是非見てみましょう。

 

不動産への影響

 

この『地歴』は、不動産を選ぶ際には非常に重要なポイントです。
昨今の局地的豪雨や台風の影響で、特に地上がアスファルト等で覆われた都心部では内水型の水害に遭うことが頻繁に見られるようになりました。

 

阿佐ヶ谷駅が台風で冠水したことをご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
上の地図を見ると阿佐ヶ谷駅周辺もかつては川が流れていた低地であり、水が溜まりやすい場所だということが一目瞭然です。

 

また記憶に新しいところでは、多摩川の氾濫によって大きな被害を被った武蔵小杉も地歴がそれを示唆していた好例です。
今でこそ華やかなタワーマンションが林立するあの一帯は、元々は東海道貨物線の建設に伴って発展した工場の建ち並ぶ工業地域でした。更にその前はというと、江戸時代初期から明治にかけて多摩川沿いの水田が広がっていたと言われています。

 

基本的に水田は水利の良い場所≒川に近い低地に立地します。
かつて水田だった、あるいは川に近い土地ということは、それだけ水害が発生した際には冠水等の被害を受けやすいということでもあります。また、川に限った話ではありませんが、河原・水田・河川などの地歴を有する土地や埋立地は地盤が台地等と比較して脆弱なことが多く、地下水位も高いことから液状化のリスクをも抱えています。

 

都市化の著しい東京都内においては、かつての面影を感じさせる痕跡が一切残っていないことも珍しくありません。
不動産の将来を考える時、駅徒歩や土地の面積・形だけではなく過去の『地歴』にも着目してみることをお勧めします。

 

地名にヒント

 

名は体を現すとはよく言ったものです。
『阿佐ヶ谷』という地名は、かつて阿佐ヶ谷を流れていた桃園川沿いの『浅い谷筋』だったことに由来すると言われています。
地名は名付けられた当時の状況を表していることが多く、たとえば『荻窪』や『天沼』など『さんずい』が付く場所は水に関係する土地(窪地・沼地)だったことを示します。

 

『渋谷』『千駄ヶ谷』も阿佐ヶ谷と同様に谷筋です。
地名が統廃合で無くなっているときは、古地図を見ると往時の姿が浮かぶかもしれません。

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