借地権付き建物とは-売買のポイントや注意点- | 誠和不動産販売株式会社
借地権付き建物とは-売買のポイントや注意点-
著:金成明洋 2020年11月更新
1.はじめに
不動産の権利は複数あり、その一つに借地権というものがあります。
借地権とは建物を築造し、所有する目的で土地を借りる権利のことをいいます。
借地権付きの建物は、土地と建物の所有者が異なります。土地は地主の所有、建物は借地人の所有ですが、借地人はその土地を利用する権利(借地権)を有していると考えましょう。逆に地主側から見ると、土地の所有権は持っているが、第三者が利用する権利(借地権)が付いているため、自己利用ができません。地主の権利の事を借地権と対を成して底地権といい、2つセットで所有権が成立しています。
2.一般的な所有権と借地の違い
借地権を使えば、土地を持っていなくても建物を建てて所有することができます。
そのため、新築住宅を建てる際、土地の購入費用を削減することができるため、予算内でより条件が良い住宅を建築(購入)することができます。※一般的な住宅地では、土地については所有権価格の約60%で購入可能です。
土地を所有していないため、土地の固定資産税や都市計画税は地主に対して課税されますが、契約期間中は地主に対して地代を支払わなければなりません。借地上に建てた住宅は、普段居住する分に関しては、通常と何変わりなく使用できます。しかし、土地が自分の所有物でないため一定の制限が加わり、例として将来増改築や売却をする場合には、地主の許可が必要になり、その際は承諾料の支払いが必要です。
3.借地権の種類
借地権を定めた法律の歴史は古く、時代の移り変わりにより法律の内容が変動しています。そのため、借地権には改定以前(1992年8月以前)の内容で定めたものを旧法借地権と、改定以降の新基準で定めたものを新法借地権といいます。
なお、現在市場に流通している借地権付き不動産も、当初契約が1992年8月以前のものは旧法借地権として販売されています。
4.契約期間
新法借地権と旧法借地権で契約期間が変わります。
新法借地権(※普通借地権の場合)は、存続期間が30年であり、1回目の更新期間は上限20年にして行います。その後の更新期間は10年が上限であり、双方の合意によって契約は延長可能です。
なお、更新に対して地主が正当事由を主張してきた場合を除き、単に更新期間が来たからという理由だけでは、契約を打ち切られることはないと考えて問題ありません。
旧法借地権は、建物の構造で契約期間が異なるため、やや複雑な内容といえます。
それぞれの存続期間と最低期間が定められており、それ以降の期間については双方の合意を持って更新を行います。
5.まとめ
同じ住宅を購入するのであれば、土地を使用する権利だけではなく、土地そのものの所有権も持った上で自宅を所有したいと考える人が多いと思います。しかし、借地権付き建物にはメリットも多く、必ずしも土地の所有権を持つ場合のほうが優れているとは限りません。
6.最後に
日本では未だ所有権が根強い人気を博しますが、借地権についての正しい知識を持てば、購入するメリットは十分にあります。
住宅購入の際にはぜひ借地権付き建物を検討してみてはいかがでしょうか。