中古住宅で住宅ローン控除を受けるためには? | 誠和不動産販売株式会社

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中古住宅で住宅ローン控除を受けるためには?

中古住宅で住宅ローン控除を受けるためには?
著:誠和不動産販売  2020年6月更新

住宅ローン控除の概要

 

マイホームを購入する大きな手助けとなる税制優遇の中でも、一番大きな効果をもたらすものが『住宅ローン控除』と呼ばれる制度です。この制度の適用にあたっては、一際わかりやすい条件として『築年数』があることは皆様も御存知の通りです。



この築年数の条件があることで、中古住宅の流通にネガティヴなバイアスが掛かっていることは否定できません。
購入者の心理としては当たり前ですが、住宅ローン控除の税制優遇が受けられる住宅を選べるのであればそちらを選択します。
結果として、特に木造住宅は築20年を境に、取引の成立の可能性のみならず価格にもギャップが生じているのが現実です。

 

では、築20年を超えた木造の中古住宅は、住宅ローン控除を使うことは一切不可能なのでしょうか。

今回は、そんな中古住宅でも税制優遇を受けられるようにするための手法を2つご紹介致します。

 

【 ① 耐震基準適合証明書を取得する 】

 

現行の新耐震基準は1981年6月より施行されているため、築20年を超えていても新耐震基準には適合している住宅も多いでしょう。
これらの住宅でも、築20年を超えている場合は耐震基準適合証明書を取得する必要があります。

 

< 手続きの流れ >



この『耐震基準適合証明書』の発行を受けることにより、築20年を超えていても住宅ローン控除や各種税制優遇を受けることが出来るようになります。

 

この手法の一番良い点は、『耐震基準適合証明書の発行は引渡し後でも良い』という点です。
耐震診断はともかくとして、改修工事は1日や2日で簡単に終わるものではありません。多くは、補強箇所に該当した壁を解体し筋交いを施工したり、柱と梁の補強金具を施工したり…と、大掛かりな工事になります。売主が居住中の場合、生活には少なくない負担と影響を及ぼすものであること、また例え費用負担が買主であったとしても、引渡し前の工事となれば万が一契約が解除になったときのことを考えると、先行で工事を行うことに売主としては協力し難いことも事実です。

 

その解決策として、引渡し前に申請書を作成する手続きは必要なものの、引渡し後居住の用に供するまでに買主が改修工事を行い、耐震基準適合証明書を取得することが認められています。

 

< 後から耐震基準適合証明書を取得するための手続き >

 

 引渡し前に『耐震基準適合証明書申請書(仮申請書)』を作成する

  ↓ ※ 耐震診断・改修工事を担当する建築事務所や検査機関の記名・押印が必要です。

 引渡しを受けた後、耐震改修工事を実施する

  ↓

 耐震基準適合証明書を取得し、確定申告の際に添付書類として提出

    ※ 引渡し時には居住の用に供していないこと

    ※ 引渡し後6ヶ月以内に耐震基準適合証明書を取得し、居住の用に供すること

 

上記の流れで、晴れて住宅ローン控除の適用を受けられることになります。
注意点としては、引渡しの時には住民票を当該住宅に移さないことです。(登記簿に記載される住所は現住所ということになります)
これは、この手続きの要件となっている『居住の用に供するまで』という部分に係ります。
住民票を移した(≒居住の用に供する)後ではこの制度を使うことは出来ませんのでご注意ください。

 

また、住宅取得に際して設けられている税制優遇のうち、『登記の登録免許税の軽減税率』を適用することは出来ません。(登記の時点では適用条件(築年数か耐震基準適合証明書)を満たしていない為)
一方で、住宅取得後の『不動産取得税』については軽減措置を受けることが出来ます。(事前に都税事務所等に申告が必要です)

 

【 ② 既存住宅売買瑕疵保険を付保する 】

 

もうひとつは、中古住宅の瑕疵担保責任を保証する保険を付保する方法があります。
※2020年4月1日より、民法改正によって『瑕疵担保責任』は『契約不適合責任』という概念に変わりました。

 

仮に中古住宅に欠陥があった場合、売主はそれを知らなかったとしても修復・補償する責任があります。
しかし、宅地建物取引業者や建築会社はともかくとして、個人が負える責任には限界があります。(特に住宅の補修となると費用も高額になることは多いため尚更です)

 

その責任をカバーするための『既存住宅売買瑕疵保険』を利用することが出来ます。

 

< 手続きの流れ >

 

 住宅インスペクション(建物調査)を実施する

  ↓

 『指摘事項』(保険に加入する為に必要な修理箇所)の改修工事を行う

  ↓

 検査を受けて合格すると保険に加入出来る

 

この保険に加入していると、築20年を超えている中古住宅でも住宅ローン控除や税制優遇を受けることが出来ます。

 

この制度の欠点は、『保険に加入する』ところまでを引渡し前にしておかなければならないことに尽きるでしょう。住宅インスペクションは勿論費用が掛かりますし、指摘事項の改修工事も少なくない負担となります。中古住宅の多くは売主のマイホームです。
勿論売主にとっても保険に加入しているメリットは非常に大きいのですが、目に見える税制優遇を受けるのは買主であるため、居住中に(特に自己の費用において)改修工事を実施することは売主としては大きな負担であることは間違いありません。

 

なお、当社では中古住宅のご売却をお手伝いする際、『住宅インスペクション』を弊社の費用負担にて実施しております。
是非ご検討ください。

 

まとめ

 

我が国には『新築信仰』なるものが存在するとも言われています。
昨今は急激に高騰した新築マンションから中古マンションへと需要は移りつつあるようですが、それでも一戸建においては中古住宅の流通が進んでいない現実があります。少し古い資料ですが、平成25年度において中古住宅の流通シェアはわずかに14.7%でした。(※国土交通省「既存住宅流通を取り巻く状況と活性化に向けた取り組み」より抜粋)同時期のアメリカ合衆国は83.1%、イギリス連邦は87.0%、フランス共和国においても68.4%と、実に住宅流通全体の7割かそれ以上が中古住宅で占められています。

 

もちろん、建物構造や気象条件、地震の多寡と諸条件が違うために、この数値は一概には比べられません。しかし、客観的に見て我が国は中古住宅の流通量が極端に少ない≒不動産の資産性が継承されているとは言い難いことはお分かりいただけるかと思います。

 

政府としては、中古住宅の流通量を増やすことで住宅ストックと資産性の有効活用を促進すべく、平成30年度より宅地建物取引業法を改正し『住宅インスペクション』の斡旋有無の告知義務を新たに設けました。これにより、上記の『既存住宅売買瑕疵保険』の付保率増加にひとつの足掛かりが出来たと言えます。

 

しかしながら、この制度は未だ宅地建物取引業者へ住宅インスペクションの斡旋有無の告知を課しただけに留まり、インスペクションの実施率を強力に押し上げているとは言い難い現実があります。また、制度の構造的な問題として、『引渡しの前に保険付保までが済んでいること』≒『売主の負担が大きい』という点が障害になっています。

 

確かに売主にもメリットのある制度ではありますが、中古住宅はそのほとんどが売主のマイホームであり、居住中に検査や工事を行う負担は決して軽くはありません。耐震基準適合証明書の改修工事・書類発行は引渡し後でも良いとされている為、いずれは既存住宅売買瑕疵保険の制度も後付が可能となれば、より中古住宅の流通性に寄与すると言えるでしょう。

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