住宅ローンのつなぎ融資と分割融資の違い | 誠和不動産販売株式会社
住宅ローンのつなぎ融資と分割融資の違い
著:誠和不動産販売 2021年6月更新
不動産を購入される際、ほとんどの方が住宅ローンでご購入されると思います。
土地を買って、注文住宅を建てる場合、建物の代金は複数回に分けて建築業者へ支払うのが一般的です。
住宅ローンは、完成した建物を引き渡すタイミングで融資が実行されます。しかし、注文住宅を建てるときは、土地の購入費用や建物の着手金・中間金など、融資が実行される前にまとまったお金が必要になるため、あらかじめ多額の資金を用意しておく必要があります。
そんなときに利用したいのが、住宅ローンの「分割融資」です。金融機関などで聞いたことはあるけど、どんな融資の方法なのかご存じでない方もいらっしゃるかもしれません。
住宅ローンの分割融資とは
注文住宅を建てるには決済のタイミングが複数回あり、それぞれの支払額は数百万円から数千万円にもなります。
住宅ローンの分割融資は、このようにまとまった資金が必要なときに必要な額を複数回にわけて融資を実行する方法です。
「住宅ローンは住宅完成後の引渡し時に実行する」というのが原則ですが、大手都市銀行など一部の金融機関では、特別に、土地購入時や、着工金、中間金の支払い時にも利用できるようになっています。
また、土地の購入費用に融資を利用する際は、抵当権を設定しておく必要があります。
その後、建物を引き渡すときに建物に抵当権を設定し、工事費用の融資が実行される流れです。
金利について
融資実行時の店頭金利を適用する金融機関が多いようで、実行されるごとに金利が変わるケースがあります。
たとえば、土地の購入時には店頭金利が1%、建物の引渡し時には金利が上がって1.5%になった場合、土地の融資実行後から建物の引渡し時までの返済に対しては金利1%、建物の引渡し後は残金に対して1.5%が適用されます。
ただし、これも金融機関によって異なり、一括して同じ金利に設定しているところもあれば、融資実行のたびに金利を選び直せるところもあります。
また、融資が実行される都度、変動金利と固定金利を選べるところもありますし、変動金利のみで固定金利は利用できないところもあります。金利はわずか0.1%の違いでも返済額が大きく変わりますから、慎重に選ぶことが大切です。
返済タイミングについて
返済が始まるタイミングも、金融機関によって違います。
基本的には、抵当権を設定した建物が完成して、引き渡しを受けたときに返済がスタートしますが、土地購入費の融資が実行された翌月から返済がスタートする金融機関もあります。
つなぎ融資との違い
住宅ローンの実行前に借り入れができる方法には、分割融資のほかに「つなぎ融資」もあります。
つなぎ融資とは、住宅ローンの契約を前提に一時的に借り入れできる短期融資のことです。住宅ローンとは別の融資ですから、それぞれ契約する必要があります。土地の購入費用、着手金、中間金などのタイミングで融資が受けられる点は、分割融資と同じです。
分割融資とのいちばんの違いは、担保がなくても借り入れできること。土地に抵当権を設定しなくても利用できるため、登記費用などの手数料が不要です。その代わり、「無担保ローン」ですから金利は分割融資よりも高く設定されます。
返済について、つなぎ融資の期間中は利子や諸費用の支払いのみで、建物の引渡し後にまとめて住宅ローンが実行されます。
分割融資よりもフレキシブルに使える融資ですが、金利が高いため建築期間が長引くと利息が増える点には注意が必要です。
メリット・デメリット
分割融資のメリット
● 金利は住宅ローンと同じ
● 条件を満たせば住宅ローン控除が受けられる
分割融資のデメリット
● 土地と建物の抵当権設定費用がそれぞれ必要
● 分割実行の手数料や登記費用はつなぎ融資より高い
つなぎ融資のメリット
● 抵当権を設定しなくても利用出来る
● 登記費用のうち登録免許税に減税措置がある
つなぎ融資のデメリット
● 無担保融資のため金利が高い
● 住宅ローンとは別契約なので住宅ローン控除の対象にならない
まとめ
分割融資だと土地と建物それぞれに抵当権の設定費用がかかるうえ、登録免許税の減税措置はありません。
一方で、つなぎ融資は一般的な住宅ローンより金利が1~2%ほど高いため、返済額がアップするリスクがあります。
分割融資の契約内容は金融機関によって大きく異なります。
特に金利に関してはトータルの返済額にも影響を与えますので、事前にシミュレーションをすることも大切です。
返済が始まるタイミングも確認したいところです。賃貸住宅で暮らしている方だと、その家賃と土地のローン支払いが重なり、一時的に家計の負担が重くなる可能性もあります。
つなぎ融資も含めて、どの方法で借入するのがリスクを抑えられるかといった点にも着目し、自分にとって最適な手段を選択することが求められます。