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社会問題化している空家問題について

社会問題化している空家問題について
著:金成明洋  2015年4月更新

平成27年2月26日、全国で深刻化している空家問題に対する対策として空家対策特別措置法が施行されました。

 

総務省統計局の調査によると、平成25年10月時点での総住宅数は6,063万戸で、5年前と比較すると304万戸増加(5.3%)していますが、空家についてみてみると空き家数は820万戸となり、5年前に比べて63万戸(8.3%)の増加となりました。空家率(総住宅数に占める割合)は平成10年に初めて1割を超えて以降増加傾向にあり、平成25年には13.5%と過去最高となりました。

 

今回空家対策特別措置法が施行された背景には、適正な管理が行われていない空家が火災の原因となったり、衛生面、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしているという現状があります。

また、管理者・所有者の不明な空家の増加も課題となっており、今後は自治体が固定資産税の課税情報を利用して所有者を特定することで空家問題の解決を目指すというものです。

 

「空家対策特別措置法」が持つ空家のゴールは2つあります。

問題のある空家への対策、そして空家の有効利用です。

 

問題のある空家への対策

長期にわたり人が住んでいない、空家の中でも特に問題視すべき空家を「特定空家」と定義して、自治体が空家へ立ち入り検査を行ったり行政指導や罰金を科すことが可能となります。

これまで空家が野放しになっていた原因として、所有者がわからないという課題がありましたが、この法律によって登記だけではわからなかった空家の所有者を固定資産税の課税情報によって特定できるようになりました。




この法令により、各自治体はこれまで以上に空家への積極的な関与が可能となります。

また、特措法では各自治体に空家のデータベースを整備し、空家や空家の跡地の活用を促進することを求めています。




これまでは固定資産税の住宅用地特例措置によって、住宅が建っていれば固定資産税を更地の1/6に軽減する優遇措置がとられていました。そのため、住まなくなった住居もあえて更地にせず、空家として残している所有者もいたことが空家増加の原因になっていました。しかしながら、5月以降はその住宅が「特定空家」と認定された場合は優遇を撤廃されることになり、その負担は最大でこれまでの6倍に跳ね上がることになります。

 

この法律における「空家」とは、概ね1年間にわたり住居またはその他の使用がされていないもののことを指します。

そしてここで言われる「特定空家」とはこれに加えて下記の状態にある空き家をさします。

 

   ◆ そのまま放置すれば倒壊の危険性がある状態

   ◆ 著しく衛生害となるおそれがある状態

   ◆ 適切な管理が行われていないために地域の景観を著しく損なっている状態

   ◆ 周辺の生活環境の保全を図るために放置するのは不適切である状態

 

なお、市町村による空家の立ち入り調査や指導、罰金などについては、5月26日施行となります。

2月末より空家の調査がはじまり、5月末から本格的な指導が入るようです。

空家をお持ちの方は遅くとも5月末までに「特定空家」と認定されそうかどうか確認して修繕や管理、売却等の検討をしておいたほうがよいでしょう。

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