平成28年路線価発表 | 誠和不動産販売株式会社
平成28年路線価発表
著:金成明洋 2016年8月更新
路線価とは
まず初めに、路線価とは、相続税・贈与税の計算の基礎となる土地の価格のことで、1月1日時点の価格を毎年7月に国税庁が発表します。路線価は、実際の土地の売買価格の約70~80%とされています。
平成28年分の路線価は、平成28年1月1日から12月31日までに発生した相続・贈与に関わる相続税・贈与税の計算に利用されます。
参考までに、「一物五価」といい、土地の価格には次の5種類の価格があります。「一物四価」という場合もありますが、これは下の表のうち基準値標準価格を抜いたものです。公示価格と基準値標準価格はどちらも土地取引価格の指標となる価格ですが、公示価格は国が発表し、基準値標準価格は都道府県が発表しています。2つの指標があってややこしいのですが、公示価格だけでは網羅しきれていないポイントを補足する形で各都道府県が基準値標準価格を公表しています。
平成28年路線価概要
国税庁は7月1日、2016年(平成28年)分の路線価を発表しました。昨年度と比較すると、全国の平均変動率は0.2%増となり、リーマンショック前の2008年以来8年ぶりに上昇しました。外国人旅行者の増加によりインバウンド消費が増えたこと、また、大都市圏を中心に住宅需要が堅調なこと、海外投資家による不動産投資の活発化などが影響したと考えられます。
都道府県別で見ると、14都道府県で上昇し、昨年より4都道府県増えています。東京、大阪、愛知の大都市圏だけではなく、北海道、広島など地方都市の路線価も上昇しています。一方、33都道府県では下落しましたが、下落幅が昨年よりも縮小した都道府県が29都道府県となりました。
都道府県別変動率
昨年との変動率を順位で見ますと、1位は東京で2.9%増、2位は宮城で2.5%増、3位は福島で2.3%増、4位は沖縄で1.7%増、5位は愛知で1.5%、6位は大阪で1.0%となっています。さらに、7位は北海道・京都・福岡で0.8%増、10位は神奈川・広島で0.5%、12位は千葉で0.4%、13位は埼玉で0.2%、14位は熊本で0.1%、と続きます。
東京では、中国人による爆買いやオリンピック需要が後押ししており、大きく伸びています。また、周辺の神奈川、千葉、埼玉も堅調です。
昨年の順位がそれぞれ1位、2位であった宮城・福島では、東日本大震災後の高い住宅需要が続いており、引き続き高い順位を保っています。
沖縄は、観光客の増加で幅広い業種で好況感が広がり、不動産需要にも波及したとみられます。
愛知では、リニア開業を見据えた手堅い需要があり、名古屋市を中心に路線価が上昇しています。
北海道・広島・福岡・熊本は、それぞれの地域での中心都市を抱えており、訪日外国人の増加の影響から今年は上昇に転じました。
相続税への影響は?
路線価が上昇することは、バブルの兆候でなければ経済状況が好転している証拠として通常プラスに捉えられます。自分が所有している土地の価格が上がったらたいてい嬉しいものですが、実は嬉しくない人もいます。それは、相続や贈与、事業継承を控える人たちです。路線価が上昇すればその分、土地の評価額が増加し、支払うべき相続税や贈与税も増えるからです。きっと新聞やテレビを見ながら、今年もまた路線価が上がったのかと顔をしかめていることでしょう。
特に、大都市圏や県庁所在地の中心部に土地を持っている人は要注意です。10%~20%台で路線価が上昇している地域があり、土地の評価額が想定外に膨らんでいるケースがあります。相続発生が近いと予想される場合には、具体的な納税資金の準備も必要です。
弊社でも、提携税理士による「相続税無料試算・相続税無料相談会」を開催しておりますが、平成27年1月の相続税改正や路線価上昇を受けて、お問い合わせも多く寄せられています。
将来の相続がご心配なお客様はお気兼ねなくご相談ください。