相続法改正-長期間婚姻している夫婦間での居住用不動産の贈与等- | 誠和不動産販売株式会社
相続法改正-長期間婚姻している夫婦間での居住用不動産の贈与等-
著:金成明洋 2019年6月更新
著:金成明洋 2019年6月更新
配偶者への贈与については「居住用不動産の贈与税の配偶者控除」という制度が以前からあり、婚姻期間20年以上の配偶者に生前贈与する居住用不動産に関しては、贈与税の基礎控除額と合算して2,110万円まで非課税でした。
しかし、これはあくまで夫婦間での贈与税控除であり、遺産分割では生前贈与となり、その分を差し引かれて遺産分割が行われることになります。
これでは、亡くなった方が、配偶者が安心して暮らしていけるようにと生前贈与をしても、望んでいた結果が反映されなくなってしまいます。
そこで、今回の相続法の改正では、配偶者への居住用不動産の生前贈与分に関して、遺産分割で考慮しなくてよいという規定が新たに設けられることになりました。
これにより、配偶者が居住用不動産の生前贈与を受けていたとしても、相続人間の遺産分割で配偶者の生前贈与分の持ち戻しが免除され、被相続人の意志をより反映した遺産分割ができるようになります。
新設されるこの規定については、注意点がいくつかあります。
①夫婦間の「居住用不動産」の贈与であること
この規定が適用されるのは、「夫婦間の居住用不動産あるいは不動産購入のために金銭の贈与または遺贈」が対象です。
居住用不動産の購入目的以外の、金銭などによる生前贈与は対象額です。
②婚姻期間20年以上の夫婦間での贈与であること
この規定は「婚姻期間20年以上」の配偶者への居住用不動産の生前贈与が行われた場合に適用されます。
この婚姻の定義は法律婚、つまり戸籍上の配偶者です。
最後に、この規定の施行日は、令和元年7月1日です。
施行日前にされた遺贈または贈与については適用されないので注意が必要です。
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