地価上昇 / 下落の行方 | 誠和不動産販売株式会社
地価上昇 / 下落の行方
著:誠和不動産販売 2021年8月更新
商業地はインバウンド需要激減により大幅下落
2020年(令和2年)は『新型コロナ感染症』に翻弄された1年と評しても過言ではありません。
それは不動産とて例外ではなく、需給の変化や相場の乱高下、様々な影響を見て取るにつけ、そのインパクトに改めて驚きを禁じ得ないものでした。
2021年(令和3年)も渦中にあることに変わりはなく、直接的・間接的問わず現在進行系の影響や後遺症の爪痕を目の当たりにすることになるでしょう。
顕著に影響を見て取ることが出来る『地価』を題目に、不動産を取り巻く情勢を紐解いてみようと思います。
< 商業地の地価は大幅下落 >
東京・大阪などの大都市を中心に、商業地の地価は大幅な下落を記録しました。
公示地価の上位10位のランキングを見てみましょう。
日本一地価の高いことで有名な銀座の下落幅は軒並み▲7%超と、その影響は甚大です。
背景には、やはり新型コロナ感染症に伴う海外訪日観光客の減少(消滅と評しても良い)、更には国内においても人流抑制策により行楽・購買のニーズが消失してしまったことが挙げられます。
(その需要はEC市場に流出し、相対的に”銀座”という実体験の価値基準が希釈されたことに他なりません)
ある意味では、商業地域のバブル的な特需が冷却されたと見ることもできます。
もとより不動産市場は、限られた供給に対し需要の多寡により相場が上下するものです。
需要が激減(消滅)すれば相場が下がるのは当然であり、逆説的な見方をすれば、将来海外インバウンドの需要等が復活することになれば、それに従い相場もまた上昇傾向に転じる可能性を感じさせるものであると言えます。
< 住宅地の地価は横這い傾向 >
一方で、住宅地の地価は横這いか微減という傾向になりました。
ランキング上位の都心部は上昇した地点も見受けられますが、杉並区では都心部と比して横這いよりも微減地点が多い傾向にあります。
例:杉並-39(令和3年公示地価)
大まかに俯瞰すると、都心部より西・北方向へ離れるほど下落幅は大きいようですが、商業地ほどのものではありません。
< 商業地と住宅地では異なる要因で相場が動く >
商業地と住宅地で地価の動き方が異なる理由は何でしょうか。
商業地は前述の通り、『海外インバウンドや国内の行楽・購買ニーズ』によって相場が左右され、地価に反映されます。
住宅地は、『住宅ニーズ(国内・居住用)』を要因としています。
新型コロナ感染症の拡大に伴い、在宅ワークの普及は目覚ましいものがあります。
オフィスを排し完全在宅ワークを導入した業界もあるとか。例え新型コロナ感染症が終息したとしても、在宅ワークの拡大・仮想オフィスへの移行は加速していくことでしょう。
それに伴い、住宅には『在宅ワーク用の+1(部屋数)』の新しいニーズが生まれました。
それは反面、必ずしも『駅チカ』に拘らなくても良くなった(通勤機会が減少した)ことにより、今までは駅から距離があって不便とされていたエリアの土地の需要が高まることにも繋がりました。
住宅地の相場は過渡期にあります。
不動産の最前線では、土地や戸建(新築/中古を問わず)の需要が急激に増加したことを肌で感じます。
まさに売手市場、平たく言えば『青田買い』のようなものです。
需要の高い面積・立地の土地や戸建は、適正相場であれば市場に出回ることなくクローズドな環境で成約するようになりました。
モノが無ければ価格は上がる。結果、価格は上がるもののそれでも高い価格で成約する。
”相場”とは主観的なもので、相対的に高いものであっても購入を決断するときに自身の判断基準に収まるものであれば、それはその当事者にとっては”適正相場”ということになります。
2021年(令和3年)の相場を読み解くのは容易ではありません。
『新型コロナ感染症に伴う(経済の全体的な)下落を、需要増が打ち消した』のか、
『住宅地が下落する要因はそもそも無く、需要増に伴う相場上昇が未だ反映されていない』のか。
間違いなく言えることは、不動産相場は『売り時』にあるということです。
かつては『貯金すれば資産は増えて当たり前。投資はギャンブル』と言われた時代がありました。
時を経て、普通預金の金利が1%の1000分の1まで落ちた今。投資信託・NISA・iDeCo等様々な形態の投資が活発化して、資産運用として確たる地位を築いています。
不動産も、『不』ではない、動的に運用する資産に変化しました。
その一歩目を、踏み出してみませんか。