納税管理人 | 誠和不動産販売株式会社
納税管理人
著:金成 明洋 2022年10月更新
著:金成 明洋 2022年10月更新
1. はじめに
海外赴任が決まった場合、その間の日本国内の納税はどうしたら良いのか?多くの方が悩みを持っているのではないでしょうか。
そのような時に、必要な事務処理や手続きをしてくれるのが「納税管理人」です。
今回のコラムでは、誰にどうやって頼めば良いのか?注意すべき点などを解説します。
2. 納税管理人とは
例えば日本の会社に勤めているサラリーマンが、1年以上の予定で海外支店などに転勤する場合、一般的には所得税法上の「非居住者」の扱いになります。原則として、赴任先で得た所得については、その国で課税されるため、日本国籍を持ったままであっても、日本で課税されること(二重課税)はありません。ただし、非居住者であっても、日本国内で発生した一定の所得については、引き続き日本で課税され、確定申告が必要になることに注意する必要があります。
確定申告の対象になるのは、例えば次のような場合です。
● 海外に居住することになる年の1月1日から出発日までの間に、日本国内で給与以外の一定の所得を得ていた
(保険金なども含む。給与は勤務先で年末調整が行われるため、確定申告は不要)
● 海外に居住後、国内にある不動産を貸し付けて所得を得たり、日本国内に持つ資産を譲渡して所得を得たりした
● 国内上場企業の株式を保有し、日本国内でそれを売却した
● 相続が発生し、相続税の納税義務が生じた
● 贈与税の納税義務が生じた
● 1月1日時点で日本に不動産を所有していたために、固定資産税の納税義務が生じた
● 1月1日時点で日本に居住していたために、住民税の納税義務が生じた
このような場合、その都度帰国して、申告や納税の手続きを行うことはもちろん可能です。
ただ、現実問題としては難しい方も多いはず。そこで、そうした手続きを代行してくれる納税管理人の選任が認められています。
3. 納税管理人の選任手続き
選定に際しては、非居住者となる人の納税地を所轄する税務署長に、納税者と納税管理人それぞれの氏名、住所などを記した「納税管理人届出書」を提出する必要があります。
この「届出書」は、日本を出国する前に提出するのが基本です。その提出自体も、納税管理人に頼むことができます。
なお、納税管理人を選んだ場合には、「その年の1月1日から出国までに得た全所得」と、「出国の翌日から12月31日までに得た国内源泉所得(家賃収入など、日本国内で確定申告が必要になる所得)」の合計額を、翌年の確定申告時期(原則として2月16日~3月15日)に、納税管理人を通じて申告します。
しかし、納税管理人がいない場合には、1月1日から出国までの給与以外の所得については、出国前に確定申告を済ませる必要があります。なおかつ、それをした場合にも、「その年の1月1日から出国までに得た全所得」と、「出国の翌日から12月31日までに得た国内源泉所得」について、翌年の確定申告時期に申告しなくてはなりません。つまり、2度手間になります。
4. 納税管理人選任要件
「納税管理人」と仰々しい名前が付いていますが、特に資格は必要なく、居住地が日本であれば誰でも問題ありません。個人でも法人でも任せる事ができます。しかし、確定申告書の提出や書類の受け取り程度の事務処理であれば、誰でも良いのですが、確定申告書の作成や税務相談は税理士の独占業務であるため、税理士資格が必要になります。
5. まとめ
海外に移住したり、赴任したりして非居住者になっても、日本で確定申告などが必要になる場合があります。そのようなときには、自分に代わってそれらの手続きを行ってくれる納税管理人を選ぶことができます。弊社でも専門家である税理士をご紹介することも可能です。お気軽にご相談下さい。
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