令和4年5月18日 電子契約解禁 | 誠和不動産販売株式会社
令和4年5月18日 電子契約解禁
著:金成 明洋 2022年6月更新
著:金成 明洋 2022年6月更新
令和4年5月18日より、不動産の電子契約が解禁されました。
これまでは、宅地建物取引士による書面への押印や、書面化義務があった契約書も法改正により電子化が可能となります。
今回のコラムでは、不動産取引における電子契約の流れや、メリット・デメリットについて掘り下げて解説します。
1. 電子契約とは
契約書は、自分と相手の合意内容を書面として残した証拠です。民法では契約は口頭でも成立するため、必ずしも契約書が必要とされるわけではありません。(例えば八百屋さんで野菜を買う時は契約書を作成しません。)
しかし、不動産など高額の取引では、後日争いが生じないよう契約書を作成することが一般的となっています。
従来は、紙で契約書を作成して合意相手と取り交わすことがほとんどでしたが、電子契約は、紙の契約書ではなく、電磁的記録により契約書を取り交わすことを意味します。
2. 書面契約と電子契約の違いと電子契約のメリット
下図のように、書面契約と電子契約にはいくつかの違いがあります。
まず、名前の通り書面契約では紙を使用し、電子契約は電子データを使用するという形式の点で大きな違いがあります。
そのため、押印は書面契約では印鑑を使用し、電子契約では電子署名などを用います。
また、「証拠力」や「手続き」に関しても違いがあります。
「証拠力」においては、書面契約では印鑑を使用するため、印鑑証明書で本人性の担保がされています。一方、電子契約における本人性の担保は、電子署名のため電子証明書を使って担保されます。改ざん防止においては、書面契約では契印・割印で担保され、電子契約ではタイムスタンプによって担保されます。
「手続き」に関しては、書面契約では、契約書の送付時に郵送や持参という方法をとる必要がありますが、電子契約の場合は、オンライン上のシステムを使っておこなうことができるため、郵送の必要がなく手続き上の時間と手間暇を削減することができます。
保管に関しても、書類だと書棚など物理的な保管場所が必要ですが、電子契約だとサーバーに保存されるため、場所を取りません。
書面契約では、収入印紙を使用しますが、電子契約では収入印紙が不要になります。
不動産売買契約書など高額取引の収入印紙は数万円(印紙税)になりますが、電子契約の場合は、不要(印紙税が課税されない)となると、大きなメリットと言えます。
3. 電子契約のデメリット
法改正により、今後契約手続きの電子化が加速度的に進むと思われますが、いままで書面契約で手続きをしてきた方々にとっては、新たな契約形態の受け入れに抵抗を示す場合があります。電子契約は相手方の同意なくして成り立たないため、電子契約のメリットを十分に理解した上で、相手方に説明をしなければならないこともあるかもしれません。
4. まとめ
不動産業界は、契約交付義務や押印義務などの法規制のため、電子化への対応が遅れていましたが、今回の改正を受けその状況も終わりを迎えようとしています。
世の中の動きに遅れを取らないように、準備を早めていかなければなりません。
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