切っても切り離せないセットバック | 誠和不動産販売株式会社
切っても切り離せないセットバック
著:誠和不動産販売 2018年2月更新
著:誠和不動産販売 2018年2月更新
道路とは
家を建てる際に守らなければならない建築基準法の中に、「接道義務」という項目があります。
敷地が幅員4m以上の道路に2m以上接していなければ建築が不可とされるこの項目ですが、そもそも「道路」とは単純に道路上である道を指すわけではありません。一見すると道路に見えても、実は水路であったり、ただの通路であったりとその素性は様々ですが、建築基準法上の指定を受けた道が「道路」と扱われます。
セットバック
では、この道路が幅員4mに満たない場合だとどうなるのでしょうか。古くから存在する街には、旧来から連綿と使われてきた幅員4m未満の道路が多数あります。
杉並区だけで見ても、区内の道路総延長の30%に当たる約332キロメートルもの道路が幅員4m未満となっています。
既に使われているこれらの道路は、将来周囲に立ち並ぶ建築物の建替えの際、道路の中心から敷地を後退(セットバック)することにより、幅員4mを確保することとされています。
セットバックを行い道路にした土地の所有権は原則残りますが、有効宅地面積に含めることは出来ませんし、建物はもちろんのこと塀などの設置も認められません。
また、特別な事情が無い限り既存の堀なども移設するか取り壊さなければなりません。ここで注意しなければならないのは、既存の塀が必ずしも自分ひとりの所有ではないこともある点です。古い塀などは隣地と共有になっていることがあり、取り壊す際には所有者全員と合意や覚書を取り交わす必要があります。
手続きや流れ
杉並区では条例に基づく拡幅整備事業を平成元年から実施しています。
この事業では、申請のあった後退用地や隅切り部の拡充・整備を区が行っています。また、セットバック部分に塀や門扉、樹木などがある場合の撤去費用の一部助成制度も設けられています。
これらは新たに建物を建築する際だけではなく、お持ちの土地の前面道路を拡げたいときにも活用することが出来ます。
こうしてセットバックを済ませた土地部分は晴れて道路として供され、固定資産税や都市計画税が非課税となります。
当然ながら道路として扱われる以上、勝手に自動販売機や花壇などを設置することは許されませんし、お持ちの土地の有効宅地面積は目減りします。
しかしながら、不便だった狭い道路を拡げることは日々の利便性の向上に利するだけでなく、いざという時の緊急車両の通行や震災時の避難路の確保にも大いに寄与し、所有者のみならず地域の住環境の向上にも貢献するものでもあります。
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