中古戸建の流通と今後の展望 | 誠和不動産販売株式会社
中古戸建の流通と今後の展望
著:誠和不動産販売 2017年7月更新
著:誠和不動産販売 2017年7月更新
わが国で大きなシェアを占めているのは新築住宅であり、新築住宅が主流なのは先進国では日本だけです。
日本の中古住宅の流通比率は約35%(2012年)と、6割・7割を超える欧米諸国に比べとても少ないのが現状です。
今後中古住宅流通市場はどのように活性化していくのでしょうか。
ホームインスペクション
2016年2月に、「宅地建物取引業法の一部を改正する法律案」が閣議で決定されました。
この法は、宅建業者は建物現況調査(インスペクション)の活用を促すことが義務付けられるものです。
インスペクション(ホームインスペクション)とは住宅診断のことで、住宅に精通したホームインスペクター(住宅診断士、一級建築士)が第三者的な立場・専門家の見地から、住宅の劣化状況・欠陥の有無・改修すべき箇所やその時期・おおよその費用を見極める業務です。
売主が、売却前にインスペクションを行うことで、買主は「建物への不安」を取り除くことが出来、安心して取引ができます。
米国では州によって異なりますが、取引全体の70~90%の割合でホームインスペクションが行われ、すでに常識となっています。
インスペクションにかかる時間は、おおよそ1.5~2時間程度で、費用は目視による診断の場合、5~6万円前後が一般的です。日本でも近年、急速に普及し始めていますが、それでも新築物件の人気は衰えません。
新築が人気な理由とは何なのでしょうか?
中古戸建を選ばなかった理由
国土交通省が2015年に、中古住宅を選ばなかった理由のアンケートを取ると、「新築の方が気持ちいいから」という回答が、6割以上と最も多い結果となりました。次いで「リフォーム費用を考えると割高(約27%)」、「耐震性や耐熱性などの問題がありそう(約26.1%)」「隠れた欠陥がありそう(約24%)」などの理由が続きます。これを見ると、1位と2位の理由から「気持ちの良い家に住みたいため、【中古住宅+リフォーム】と【新築】を比較すると新築のほうが安くつく」と思われていることが考えられます。気持ちの問題だからこそ捨てがたい価値観と考えられます。
また、定期的に修繕されていない資産価値の下がった家のリフォームは、定期的に修繕し価値を保ってきた家と比べ、費用が割高になることは明確になり、避けられる要因となっています。
住宅の価値とは
住宅の価値は、土地・建物・外構・植栽・維持管理・地域の治安などで構成されます。
経年で価値を失う住宅と価値を高め保つ住宅との差は、新築後の住まい方・維持管理・追加投資などのマネジメントにあります。管理や追加投資の方法を国民全員で共有することが目下の課題と言えるようです。
住宅投資が資産として蓄積されないという、悲しい「負の連鎖」を断ち切るために建物価格評価方法の改善・中古住宅流通市場の改善・住宅金融市場との連携によって住宅の長期利用を実現することが求められているのです。
そして、数世代にわたり利用できる長期優良住宅の建設・適切な維持管理・流通のしくみを構築するほか、消費者が安心してリフォームできる環境整備が必要になったのです。
住宅の長期利用が生む資産価値の向上
これまで建物の価値は直接的に減価すると考えてきました。追加投資(リノベーション・リフォーム)の有無にかかわらず「経年」という事実によって不可避的に減価していたのが今までの考え方でした。
これからは、将来どれだけの期間利用できるかという予測によって「不動産価値」が決定されることになりそうです。追加投資(リノベーション・リフォーム)によって残存利用可能期間を30年以上、できれば60年以上を保持することが、資産価値を保持するポイントです。
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