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借地権付き建物をご存知でしょうか

借地権付き建物をご存知でしょうか
著:誠和不動産販売  2018月5月更新


土地に所有権ではなく借地権が設定されている建物は“借地権付き建物”と呼ばれます。
建物所有目的で、土地所有者(地主)から土地を借り、賃料(地代)を支払いますが、その場合の土地の権利は「借地権(建物付き)」と「底地権」とに分かれます。
土地を貸している地主が「底地権者」、土地を借りた建物を所有する側が「借地権者」となります。

●旧法借地権
新法借地借家法ができる前(平成4年以前)の旧法借地借家法による借地権のことで、借地契約を更新し続けることで、正当事由が無い限り半永久的に借りられるという特徴があります。
旧借地権は、更新の定めが無い契約の場合、建物が老朽化し朽廃すれば借地権が自動的に消滅します。逆に言えば、存続期間が定められていれば、建物が朽廃しても借地権は消えません。存続期間の定めのある契約における建物の朽廃は、地主側が契約解除を求める上での正当事由にはならないということです。

●普通借地権
平成4年8月に新たに制定された「借地借家法」で定める借地権の一つ、契約更新を前提としている借地権で、地主は正当事由がなければ契約を更新しなければなりません。借地権の存続期間は当初は30年で、更新後第1回目は20年、それ以降は10年と期間が徐々に短くなります。普通借地権には朽廃による消滅の規定はなく、滅失となります。滅失後の建物再建、特に借地契約更新後の建物の再築に関しては、地主の承諾なく行うと、借地権を失う可能性があります。旧借地権では、借主側が強かったのに対し、新法では地主側の都合でも解約できるという規定が設けられたことが大きなポイントです。



一時金について

●更新料
一般的な価格基準の計算方法   更新料の基準=借地権価格×  5~10%前後

旧法借地権や借地借家法における普通借地権では、借地上に建物がある限り原則的に契約期間は更新できます。土地所有者(地主)が更新を拒むには正当な事由が必要で、正当性が示されない場合は原則的に更新が可能となります。

普通借地権の更新時には、判例では必ずしも認められるものではありませんがほとんどの場合、更新料というものが地主から請求されます。法律で更新料についての定めはありませんが、この更新料についての意味合いはいろいろなことが言われ、借地権の長い歴史の中では、ほとんどの場合、慣習的に更新時には更新料の支払いがなされてきています。

≪更新料の意味合い≫
 ①従前の地代が安い場合の補充
 ②将来の地代の前払い的な一時金
 ③更新時において地主が有する更新拒絶の権利を放棄することへの対価
 ④将来に亘り安定的に賃貸借契約を継続するための対価

●建替(増改築)承諾料
一般的な価格基準の計算方法   更地価格の3%~4%(借地権価格の5%程度という場合も)
                増改築承諾料の基準=更地価格×  2~3%

借地の地代というのは賃貸アパート等を想定した家賃と比べて、かなり低い傾向にあります。地主が受け取る地代が月5万円程度なのに、借地権者は借地権上の建物を貸して30万円も50万円も受け取っていたりしていることは良くあります。そのため、旧法借地権はもちろん、新法である借地借家法の普通借地権においての契約の場合、土地所有者(地主)は早期に借地権が消滅することを望みます。建物が朽ちてしまえば、法律上借地権が消滅するからです。
しかし、増改築が行われれば建物の老朽化による借地権の消滅が期待できなくなり、土地所有者(地主)の利益損失に繋がるのです。これを補填するための金銭が増改築承諾料です。


●借地条件変更承諾料
一般的な価格基準の計算方法    借地条件変更料の基準=更地価格×  10%

木造等の非堅固な建物から、鉄筋など堅固な建物への建替えの場合、以下のような借地契約の条件変更を行います。
 例① 非堅固な建物所有目的から堅固な建物所有目的に変更
 例② 契約期間を20年から30年へ変更

一般的には、この条件変更の際、借地権者は地主に対し、条件変更料を支払います。借地に堅固な建物を建造できるようになると、建物の耐久年数が上がることなどから、借地人の利潤が上がります。その超過分の一部を土地所有者(地主)に分与する、というのが借地条件変更承諾料の考えです。また、強固な権利がつくられることによる一種の権利金である、という考えでもあります。

●名義書換料 ※譲渡承諾料とも呼ばれます
一般的な価格基準の計算方法    名義書換料の基準=借地権価格×  10%

借地権を第三者へ譲渡(売却)する場合には、土地所有者(地主)の承諾が必要であることが民法612条で定められています。そのため、名義書換料はこの承諾や手間賃と言えます。なお、法律上ではこの支払いを必須とする規定はありませんが、判例においてもほとんどの場合、名義書換料の支払いが命じられているため、これに応じるのが一般的です。ただし、相続による名義書換の場合には不要となります。



借地権付建物の売買を行う場合のローンのしくみ

①買主に借地権付き建物の返済(地代含む)に付随する相応の信用力がないと融資がなされない
②担保が借地権付き建物にしかつけられない為、事前に土地所有者(地主)から、万一の際銀行と地主が連携する承諾を印鑑証 明付きの書面にて得ておく必要がある

 ※借地権付きとはいえ、物的担保(抵当権)が建物だけになるということのほか、その借地権も地代の滞納等があれば、借地  契約そのものが解除される可能性もあるからです。
 ※借地権付き建物の融資の際には、建物に関しては、建物に抵当権を設定し、建物の火災保険契約に基づく保険金請求権に質  権を設定するという方法がとられますが、そのほかに借地権者(買主)の地代の滞納等による借地契約の解除や競売の場合の  債権回収を円滑に行うため、地主(土地所有者)からあらかじめ、借地契約の解除前に抵当権者(金融機関)に通知しても  らうことや、競売により第三者に建物の所有権が移った場合に、その借地権の譲渡についての承諾(印鑑証明書付)を得てお  く方法がとられています。


まとめ

当社では、借地底地のトラブルについても積極的にご相談を承っております。
借地権についてのトラブルが多いのは、やはり権利関係が絡む為と考えられます。地主と借地権者の関係は債権債務の権利関係となります。民法や借地借家法に則って正確な知識にて協議が必要となりますが、どうしても人対人の感情が出やすく、協議がまとまらないケースが散見されます。
底地借地の売買や更新、建替え等にお困りの際は当社までお問い合わせください。

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