筆界と所有権界 | 誠和不動産販売株式会社

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筆界と所有権界

筆界と所有権界
著:誠和不動産販売  2018年7月更新



土地には境目が存在します。
この境目のことを「境界」と一般的に呼び、特段の区別無く土地の境として認識されていますが、この境界は更に「筆界」と「所有権界」に大別されます。基本的にこの両者は一致しますが、何らかの理由で境界トラブルが発生している時、この二つが一致していないことが原因となっていることが多いです。

では、この「筆界」と「所有権界」とは一体どういうものなのでしょうか。


 ○ 筆界とは

筆界とは、公法上の境目とされています。
この起源は明治初期に行われた地租改正事業に端を発し、当時の土地の境界を国家権力によって人為的に定めたものです。
この筆界は、個人間の合意や意思によって勝手に変更することは出来ない不動のものです。筆界の線形を変更するためには、不動産登記法の範囲内で分筆登記や合筆登記を行って整理する必要がありますが、「筆界」は目に見える線ではないためこれを特定するためには法務局に備えられている「公図」や「地積測量図」などを手掛かりに現地で再現していくことになります。



 ○ 所有権界とは

一方、所有権界は私法上の境界と呼ばれ、民法上個人の所有権と所有権がぶつかり合う界となります。どこからどこまでが自分のものであるか、塀や境界標などを設けてそれを物理的に現地に表示しています。
この所有権界は個人間の合意によって変更することが出来るため、その土地を利用する上での利便性やそれぞれの事情から、時代の経過と共に移り変わることもあります。


 

筆界を定めるとき、かつて土地の面積は縄を使って測っていました。
当然その精度は縄の状態や測る人間のやり方によって変わります。また、その結果を図にする際にも当時はコンピューターなど無かった時代なので、作り手の技量に左右されるところがありました。
それでも当時は、その時点での所有権界を図面にして公法上の境目としたため、原則的に筆界と所有権界は一致していました。

しかし、時代を経て個人間の合意によってより使いやすくなるように所有権界を変更することも多くなってきました。
例えば道路に対して斜めになっている筆界を、使いやすいようにまっすぐにした時などです。



このとき所有権界は変わりますが、筆界はそのまま残るので、ここに両者の不一致が発生します。
また、登記簿に記載されている土地の面積も異なることになります。時が経ち、所有者が何度も変わる中で、売買や相続のときのトラブルの原因となるのです。

現代において、土地の相続や売買の際は境界や面積を正しく明らかにすることが当たり前となりました。
古くからある土地では正確な測量図や境界標が無いケースも多く見受けられますが、将来の運用や売買、相続の際に起こり得るであろうトラブルの遠因は、早い内に解消することが望ましいと言えます。



一度、ご所有地の測量図や境界を確認してみるのも良いかもしれません。

 

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