相続手続き 全体の流れ | 誠和不動産販売株式会社
相続手続き 全体の流れ
著:金成 明洋 2021年12月更新
著:金成 明洋 2021年12月更新
相続手続きを始める前に、手続き全体の流れを知っておくことが大切です。
特に手続きの中には、期限が定められているものがあるので、全体の流れを見る際には、必ず期限の点について確認しておくことが大切です。
1.相続の開始(被相続人の死亡)
7日以内
①死亡届けの提出
死亡診断書を死後7日以内に故人の死亡地、本籍地又は届出者の住所地に提出する必要があります。
同時に火葬許可申請も行います。
14日以内
2.年金停止や介護保険の資格喪失手続きなど
①年金の受給停止手続き
故人が年金を受給していた場合、国民年金の場合は死後14日以内、厚生年金の場合は10日以内に年金事務所へ届け出をします。※未支給の年金がある場合は未支給年金請求も同時に行います。
②世帯主変更届け
世帯主がなくなり、残された世帯員が2人以上いる場合には死後14日以内に世帯主変更届を役所に提出します。
※残された世帯員が1人の場合や、配偶者と幼児など次の世帯主が明白な場合は届出不要。
③健康保険の手続き
健康保険に加入していた人が亡くなった場合は「資格喪失の手続き」と「健康保険証の返却」を行います。
健康保険には大きく分けて、次の3つの種類があります。
● 国民健康保険 ⇒ 死後14日以内
● 後期高齢者医療保険 ⇒ 死後14日以内
● 被用者の健康保険 ⇒ 死後5日以内
※各健康保険では、遺族の金銭的な負担軽減のため、葬祭費や埋葬料を支給してくれる精度があります。健康保険の手続きと併せて行います。
④介護保険の資格喪失届
亡くなった人が65歳以上または40歳から64歳で要介護認定を受けていた場合は、死後14日以内に「介護保険被保険者証」と「介護保険資格喪失届」を併せて行います。
⑤公共料金等の名義変更・解約
故人名義の様々な契約に関して変更・解約手続きを行います。
期限はありませんが、料金がかかるものについては早めの解約手続きが望ましいです。代表的なものは以下のとおりです。
● 免許証 ● パスポート ● 公共料金 ● クレジットカード
● 携帯、固定電話、プロバイダー ● 各種保険
3ヶ月以内
3.遺言書の有無の確認、相続人の調査、相続財産の調査・把握
遺言により法定相続分と違う割合で相続分を決めることや、相続人以外に財産を残すことができるため、遺言書の有無は相続人にとって大きな影響を与えます。そのため故人から遺言書の存在を知らされていなかったとしても、はじめにしっかりと探しておくことが重要です。調査方法は「自宅」「入院先の病院」「入所していた施設」「自宅の金庫」「金融機関の貸金庫」
①公正証書遺言
公正証書遺言は、公証人という法律の専門家が故人の意思に基づき作成した遺言書です。
方式の不備で遺言が無効になる恐れがなく、原本は公証人役場に保管されているため、紛失の危険もありません。
※遺言の有無は公証役場の遺言検索手続きで知ることができます。なお、遺言者の生前は、遺言者以外の人が公証役場に問い合わせても、遺言の内容はもちろん、遺言の有無も教えてもらえません。
②自筆証書遺言
自筆証書遺言とは、遺言者が財産目録以外の全文を自筆で書く遺言書です。自宅で気軽に作成できるというメリットがありますが、厳格な要件を満たしていないと遺言としての効力がなくなる恐れがあります。※令和2年7月10日から法務局で保管してもらえるようになりました。同時に遺言書が保管されているか否かの確認ができます。
【 自筆証書遺言の検認手続 】
公正証書や自筆証書でも法務局に保管されている遺言書以外は、開封されると偽造や変造される可能性が高くなるため「家庭裁判所において相続人の立会いのもと開封しなければならない」と法律で決められています。自筆証書遺言を見つけた際は、開封しないまま故人の最後の住所地の家庭裁判所に検認の申し立てをします。※検認手続は申し立てから1から2ヶ月程度です。
また申し立てには故人の出生から亡くなるまでの戸籍謄本などが必要になります。
③相続人の特定
遺産分割協議を行う前に戸籍謄本などの書類を収集して、正確な相続関係を把握する必要があります。遺産分割協議を行った後に、遺産分割協議に参加していない相続人がいることが判明した場合、その遺産分割協議は無効となります。
また、金融機関や法務局での相続手続きにおいても、収集した戸籍謄本が必要になります。
※平成29年5月から「法定相続情報証明制度」が全国の法務局で始まりました。相続人を特定できる戸籍謄本等を法務局に提出することで、登記官の認証付きの一覧図の写しが交付されます。この書類があれば戸籍謄本等を持ちまわらなくても相続手続きが可能です。
【 死亡時から出生までの戸籍謄本を取得 】
故人の死亡時点の戸籍謄本だけでは、相続関係を証明するには十分ではありません。戸籍を遡って取得していくことで、他の相続人(隠し子や半血の兄弟など)がいないことを特定します。なお、相続の権利があることを証明するために、相続人の現在の戸籍も取得する必要があります。
④相続財産の調査
相続手続きを行うにあたっては、どのような相続財産があるか財産の全容を明らかにすることが大切です。相続財産が明確になっていなければ、相続税の計算や、財産分与ができないからです。
【 相続財産の種類を確認 】
相続税がかかる財産は「金銭に見積もることができる経済的価値のあるものすべて」と定義されています。
代表的なものとしては下図のとおりです。
また以下の3つも相続税の課税対象となる財産として定義されています。
● 故人から死亡前3年以内に贈与により取得した財産
● 相続時精算課税の適用を受ける贈与財産
● 名義預金
※課税されない財産としては「墓地、墓石、仏壇、仏具、弔慰金、損害賠償金」などがあります。
⑤相続放棄・限定承認を検討
相続財産を単純に全て相続するのか、それとも相続放棄や限定承認の手続きを行うのかを3ヶ月以内に判断する必要があります。
● 単純承認 ⇒ 無条件に全財産、全負債を相続する
● 限定承認 ⇒ 相続財産を超えた負債は負担しない
● 相続放棄 ⇒ 相続人としての立場を放棄する
限定承認と相続放棄は相続開始を知ってから3ヶ月以内に手続きをしなければ、単純承認をしたことになります。
※限定承認と相続放棄の手続きは家庭裁判所に申し立てをする必要があります。ただ財産はいりませんと宣言するだけでは効果はありません。
4ヶ月以内
4.所得税の準確定申告
準確定申告とは、亡くなった人の生前の所得税についての確定申告です。
亡くなった人の代わりに相続人全員が共同で確定申告を行いますが、申告期限は相続の開始を知った日の翌日から4ヶ月以内です。なお準確定申告が必要なケースは以下のとおりです。
● 自営業者であった場合
● 不動産を賃貸していた場合
● アルバイトや正社員で2ヵ所以上から給与を得ていた場合
● 2,000万円以上の給与所得があった場合
● 400万円以上の年金受給があった場合
10ヶ月以内
5.遺産分割協議の開始
相続人全員で遺産の分け方を決めることを「遺産分割協議」といいます。仮に相続人間での協議が難しい場合は家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てて、裁判所関与のもと話し合いをすることができます。
①遺産分割の方法
遺産分割の方法は主に次の4つです。
● 現物分割 ⇒ 相続財産を現物のままそれぞれに分割 例)不動産はA、現金はB、有価証券はC
● 換価分割 ⇒ 相続財産の売却代金を各相続人に分割 例)不動産⇒売却⇒A、B、C
● 代償分割 ⇒ 本来の相続分以上の財産を取得した相続人が他の相続人に代償金を支払 例)不動産⇒A⇒Aの現金をC(代償金)
● 共有分割 ⇒ 相続財産を処分せずにそのまま共有 例)不動産⇒A(持分1/3)、B(持分1/3)、C(持分1/3)
②遺産分割協議書の作成
相続人間の話し合いで纏まった内容を、後日のトラブル防止や名義変更などの手続きを円滑に行うために、「誰が、どの財産を、どれくらい相続するか」について、遺産分割協議書に記載しておく必要があります。
③預貯金・有価証券等の名義変更
故人が持っていた銀行、証券会社の口座について、名義変更や解約を行います。
各銀行によって相続手続きの方法が決まっているため、各金融期間に問合せをし手続きを進めます。
④不動産の名義変更
不動産を所有していた人が亡くなったときは、不動産の名義変更手続きを行います。
不動産を売却することが決まっている場合でも、いったん亡くなった人の名義から相続人の名義に変更する必要があります。
⑤各種財産の名義変更
預金や不動産以外についても名義変更が必要なものは手続きが必要です。
● 自動車 ● ゴルフ会員権 ● 損害保険 ● 電話加入権
⑥相続税の申告
相続税の分割方法が決まったら、相続財産の評価額を算出し、相続税がかかるかどうかを計算します。
相続税がかかる場合は10ヶ月以内に相続税の申告・納税が必要です。
特に手続きの中には、期限が定められているものがあるので、全体の流れを見る際には、必ず期限の点について確認しておくことが大切です。
1.相続の開始(被相続人の死亡)
7日以内
①死亡届けの提出
死亡診断書を死後7日以内に故人の死亡地、本籍地又は届出者の住所地に提出する必要があります。
同時に火葬許可申請も行います。
14日以内
2.年金停止や介護保険の資格喪失手続きなど
①年金の受給停止手続き
故人が年金を受給していた場合、国民年金の場合は死後14日以内、厚生年金の場合は10日以内に年金事務所へ届け出をします。※未支給の年金がある場合は未支給年金請求も同時に行います。
②世帯主変更届け
世帯主がなくなり、残された世帯員が2人以上いる場合には死後14日以内に世帯主変更届を役所に提出します。
※残された世帯員が1人の場合や、配偶者と幼児など次の世帯主が明白な場合は届出不要。
③健康保険の手続き
健康保険に加入していた人が亡くなった場合は「資格喪失の手続き」と「健康保険証の返却」を行います。
健康保険には大きく分けて、次の3つの種類があります。
● 国民健康保険 ⇒ 死後14日以内
● 後期高齢者医療保険 ⇒ 死後14日以内
● 被用者の健康保険 ⇒ 死後5日以内
※各健康保険では、遺族の金銭的な負担軽減のため、葬祭費や埋葬料を支給してくれる精度があります。健康保険の手続きと併せて行います。
④介護保険の資格喪失届
亡くなった人が65歳以上または40歳から64歳で要介護認定を受けていた場合は、死後14日以内に「介護保険被保険者証」と「介護保険資格喪失届」を併せて行います。
⑤公共料金等の名義変更・解約
故人名義の様々な契約に関して変更・解約手続きを行います。
期限はありませんが、料金がかかるものについては早めの解約手続きが望ましいです。代表的なものは以下のとおりです。
● 免許証 ● パスポート ● 公共料金 ● クレジットカード
● 携帯、固定電話、プロバイダー ● 各種保険
3ヶ月以内
3.遺言書の有無の確認、相続人の調査、相続財産の調査・把握
遺言により法定相続分と違う割合で相続分を決めることや、相続人以外に財産を残すことができるため、遺言書の有無は相続人にとって大きな影響を与えます。そのため故人から遺言書の存在を知らされていなかったとしても、はじめにしっかりと探しておくことが重要です。調査方法は「自宅」「入院先の病院」「入所していた施設」「自宅の金庫」「金融機関の貸金庫」
①公正証書遺言
公正証書遺言は、公証人という法律の専門家が故人の意思に基づき作成した遺言書です。
方式の不備で遺言が無効になる恐れがなく、原本は公証人役場に保管されているため、紛失の危険もありません。
※遺言の有無は公証役場の遺言検索手続きで知ることができます。なお、遺言者の生前は、遺言者以外の人が公証役場に問い合わせても、遺言の内容はもちろん、遺言の有無も教えてもらえません。
②自筆証書遺言
自筆証書遺言とは、遺言者が財産目録以外の全文を自筆で書く遺言書です。自宅で気軽に作成できるというメリットがありますが、厳格な要件を満たしていないと遺言としての効力がなくなる恐れがあります。※令和2年7月10日から法務局で保管してもらえるようになりました。同時に遺言書が保管されているか否かの確認ができます。
【 自筆証書遺言の検認手続 】
公正証書や自筆証書でも法務局に保管されている遺言書以外は、開封されると偽造や変造される可能性が高くなるため「家庭裁判所において相続人の立会いのもと開封しなければならない」と法律で決められています。自筆証書遺言を見つけた際は、開封しないまま故人の最後の住所地の家庭裁判所に検認の申し立てをします。※検認手続は申し立てから1から2ヶ月程度です。
また申し立てには故人の出生から亡くなるまでの戸籍謄本などが必要になります。
③相続人の特定
遺産分割協議を行う前に戸籍謄本などの書類を収集して、正確な相続関係を把握する必要があります。遺産分割協議を行った後に、遺産分割協議に参加していない相続人がいることが判明した場合、その遺産分割協議は無効となります。
また、金融機関や法務局での相続手続きにおいても、収集した戸籍謄本が必要になります。
※平成29年5月から「法定相続情報証明制度」が全国の法務局で始まりました。相続人を特定できる戸籍謄本等を法務局に提出することで、登記官の認証付きの一覧図の写しが交付されます。この書類があれば戸籍謄本等を持ちまわらなくても相続手続きが可能です。
【 死亡時から出生までの戸籍謄本を取得 】
故人の死亡時点の戸籍謄本だけでは、相続関係を証明するには十分ではありません。戸籍を遡って取得していくことで、他の相続人(隠し子や半血の兄弟など)がいないことを特定します。なお、相続の権利があることを証明するために、相続人の現在の戸籍も取得する必要があります。
④相続財産の調査
相続手続きを行うにあたっては、どのような相続財産があるか財産の全容を明らかにすることが大切です。相続財産が明確になっていなければ、相続税の計算や、財産分与ができないからです。
【 相続財産の種類を確認 】
相続税がかかる財産は「金銭に見積もることができる経済的価値のあるものすべて」と定義されています。
代表的なものとしては下図のとおりです。
また以下の3つも相続税の課税対象となる財産として定義されています。
● 故人から死亡前3年以内に贈与により取得した財産
● 相続時精算課税の適用を受ける贈与財産
● 名義預金
※課税されない財産としては「墓地、墓石、仏壇、仏具、弔慰金、損害賠償金」などがあります。
⑤相続放棄・限定承認を検討
相続財産を単純に全て相続するのか、それとも相続放棄や限定承認の手続きを行うのかを3ヶ月以内に判断する必要があります。
● 単純承認 ⇒ 無条件に全財産、全負債を相続する
● 限定承認 ⇒ 相続財産を超えた負債は負担しない
● 相続放棄 ⇒ 相続人としての立場を放棄する
限定承認と相続放棄は相続開始を知ってから3ヶ月以内に手続きをしなければ、単純承認をしたことになります。
※限定承認と相続放棄の手続きは家庭裁判所に申し立てをする必要があります。ただ財産はいりませんと宣言するだけでは効果はありません。
4ヶ月以内
4.所得税の準確定申告
準確定申告とは、亡くなった人の生前の所得税についての確定申告です。
亡くなった人の代わりに相続人全員が共同で確定申告を行いますが、申告期限は相続の開始を知った日の翌日から4ヶ月以内です。なお準確定申告が必要なケースは以下のとおりです。
● 自営業者であった場合
● 不動産を賃貸していた場合
● アルバイトや正社員で2ヵ所以上から給与を得ていた場合
● 2,000万円以上の給与所得があった場合
● 400万円以上の年金受給があった場合
10ヶ月以内
5.遺産分割協議の開始
相続人全員で遺産の分け方を決めることを「遺産分割協議」といいます。仮に相続人間での協議が難しい場合は家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てて、裁判所関与のもと話し合いをすることができます。
①遺産分割の方法
遺産分割の方法は主に次の4つです。
● 現物分割 ⇒ 相続財産を現物のままそれぞれに分割 例)不動産はA、現金はB、有価証券はC
● 換価分割 ⇒ 相続財産の売却代金を各相続人に分割 例)不動産⇒売却⇒A、B、C
● 代償分割 ⇒ 本来の相続分以上の財産を取得した相続人が他の相続人に代償金を支払 例)不動産⇒A⇒Aの現金をC(代償金)
● 共有分割 ⇒ 相続財産を処分せずにそのまま共有 例)不動産⇒A(持分1/3)、B(持分1/3)、C(持分1/3)
②遺産分割協議書の作成
相続人間の話し合いで纏まった内容を、後日のトラブル防止や名義変更などの手続きを円滑に行うために、「誰が、どの財産を、どれくらい相続するか」について、遺産分割協議書に記載しておく必要があります。
③預貯金・有価証券等の名義変更
故人が持っていた銀行、証券会社の口座について、名義変更や解約を行います。
各銀行によって相続手続きの方法が決まっているため、各金融期間に問合せをし手続きを進めます。
④不動産の名義変更
不動産を所有していた人が亡くなったときは、不動産の名義変更手続きを行います。
不動産を売却することが決まっている場合でも、いったん亡くなった人の名義から相続人の名義に変更する必要があります。
⑤各種財産の名義変更
預金や不動産以外についても名義変更が必要なものは手続きが必要です。
● 自動車 ● ゴルフ会員権 ● 損害保険 ● 電話加入権
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