税制大綱 | 誠和不動産販売株式会社
税制大綱
著:金成明洋 2016年1月更新
少し前の話になりますが、今回は「税制大綱」についてです。
毎年、年末になると「税制改正大綱決定」とニュースなどで大々的に報道されますが、まずは税制改正大綱とは何であるかを説明します。
税制改正大綱は、翌年度以降の増税や減税、新しい税の仕組みなど、税制の具体的内容を網羅したもの(税制改正の原案)をいいます。これは、自民党政権では、政権与党の自民・公明両党が国会議員同士で税のあり方を議論する「税制調査会(税調)」を設置し、具体的内容を判断しますが、一方で政府内には予算作りを担当する部門(財務省主税局)があり、実際には、税の専門家である官僚と国会議員が相談しながら今後の税制を決めています。(税制改正では、どこから税金を取るかを決める作業において、利害関係が複雑で難しい調整が伴います)
一般に税制が改正されると、国の収入である「税収」の見通しが立つと共に、個人の日常生活や購買活動、企業の事業計画や設備投資などにも影響を及ぼすことになるため、毎年12月半ばに発表される「税制改正大綱」は世間的に大きく注目されます。(大きな改正の場合、世の中に大きな影響が出ます)
税制改正の流れ(自民党政権の場合)
1.有識者による政府税調が税制改正の方向性を提言する(秋口頃まで)
2.与党の税調が税制改正大綱を決定する(年末まで)
3.政府が大綱をもとにした税制改正法案を国会に提出する(年明け閣議決定し通常国会提出)
4.国会で税制改正法案を審議し、可決する(3月まで)
昨年は相続税改正が大きく報道されましたが、今年の目玉改正は、「所得税の配偶者控除」と「消費税率が10%に引き上げられることによる負担軽減策(還付制度や軽減税率)」でありますが、弊社が取り組んでいる「空家問題」に関する税制改正要望が国土交通省から出されました。
【要望の内容】
「平成28年4月1日から一定期間内に、旧耐震基準(昭和56年6月1日改正前耐震基準)の下で建築された居住用家屋を相続し、相続後一定期間内に当該家屋の耐震リフォーム又は除却を行った場合、標準工事費(上限250万円)の10%を所得税額から控除する」
【解説】
近年増加を続けている空家に対して、本年5月26日から強制的に解体工事が出来るなど行政の権限強化や固定資産税の減免措置を認めない(固定資産税が実質増額する)など、罰則強化が図られてまいりましたが、一方、空家対策を考える上では、管理の行き届いていない空家の発生を抑制することも重要な対策と考えられます。
よって、相続で旧耐震基準の建物を取得した際に、一定の所得税額控除を設けたいと国土交通省が要望を出しています。
私は実務で空家所有者のお客様から運用のご相談を多く受けますが、この様な税制が新設されれば是非とも活用していきたいと思います。