平成29年5月下旬から「相続手続き簡素化」 | 誠和不動産販売株式会社
平成29年5月下旬から「相続手続き簡素化」
著:金成明洋 2017年5月更新
概要
法務省は平成29年5月下旬より相続手続きを簡素化する『法定相続情報証明制度』を新設すると発表しました。
現在、相続が発生し遺言がない場合については、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を集める必要があります。その書類を法務局や各金融機関の窓口に提出する必要があり、同じ戸籍謄本を何通も揃えなければいけないという弊害が生じており、被相続人の負担になっています。
新しい制度では、最初に戸籍謄本等一式を法務局に提出すれば、その後は登記所が発行する「法定相続情報一覧図」が証明書となり、金融機関等に提出するだけで済むようになります。
相続手続きの簡素化は、相続人や金融機関等の負担軽減を図るとともに、相続による登記を促して所有者不明の不動産を解消することが狙いです。
問題点
そもそも所有者不明の不動産があるということはどうしてでしょう。
不動産登記は任意で、登記後に所有者が引越しをした場合でも住所変更する義務はありません。また、相続の場合は包括相続であり第三者に対抗する必要がないため、放置されるケースが増えてしまいます。
この様な所有者不明の不動産が増えてしまうと、国が新しく道路を作る為に土地を買収しようとしても不動産の買収が出来ず道路が作れないということも起きてしまいます。
実際に、東日本大震災の復興にも影を落としています。宮城県や岩手県は東日本大震災の津波で影響を受けた宅地を自治体が買い取る事業を行っていますが、相続人全員と連絡がとれない等の理由で買い取りが進んでいない土地が多く、復興の遅れを懸念する声もあります。
まとめ
今回の『法定相続情報証明制度』は、まず手続きを簡素化することで相続登記を推進したいというのが国の考えですが、所有者不明の土地が減り、復興の促進や空家問題の解消などの前進に繋がれば良いと思います。