土地の相続登記義務化へ向けて | 誠和不動産販売株式会社
土地の相続登記義務化へ向けて
著:金成明洋 2019年3月更新
法務省は2019年2月8日に所有者不明の土地が増えている問題を解消するため、民法と不動産登記法を見直すと発表しました。
今後法務省の諮問機関である法制審議会で議論され、2020年の臨時国会に改正案を提出する予定です。
※ 所有者が不明な土地とは・・・不動産登記簿等の所有者台帳により、所有者が直ちに判明しない、又は判明しても所有者に連絡がつかない土地(国土交通省ガイドライン引用)
法制審議会で議論する対策のポイント
① 相続登記の義務化
現在、相続登記は任意で登記をするかどうかは相続人の判断に委ねられています。
そのため資産価値が低い地方の宅地や山林などは引き受け手が決まらず放置されたり、相続人が登記簿上の名義を書き換えなかったりして発生する例が多く見られます。名義が死亡者のまま長年放置されれば、法定相続人が分からなくなる可能性があり、土地を利用したい個人や官公庁も手が出せなくなります。
そこで権利関係を外部からわかりやすくするために、相続時の登記を義務化し、登記をしていなければ罰金などを科すことも視野にいれて検討されます。
② 土地所有権の放棄を認める制度を検討
現在、不動産の所有権放棄は認められていません。相続の放棄(全ての遺産を放棄する事)も簡単にはできません。
今後土地の所有権を放棄できるようにする制度が検討されますが、放棄を認める条件や受け皿となる自治体、税逃れや将来放棄するつもりで管理をしないなど、仕組みをしっかりと作らなくてはモラルハザードが発生してしまいます。
③ 遺産分割協議の期間を制限
現在、遺産分割協議に期間は設けられていないので、相続人間で遺産についての話し合いがされず手付かずの不動産が増えてしまう現状があります。
そのため、話し合いでの合意や家庭裁判所への調停申立がされずに被相続人が亡くなってから一定期間が過ぎれば、法律に従って自動的に権利が決まるように検討されます。
期間は3年、5年、10年の複数案があります。
④ 土地ごとに相続財産管理人を選任可能に
相続人のいない土地も活用を促します。
被相続人が複数の土地を持っていた場合、債権者などが土地ごとに相続財産管理人を選任できるようにします。
管理人は相続人がいないかどうかを調べた上で、土地をもらうべき人に分けたり、売却して債務の支払いに充てたりできるように検討されます。
所有者不明な土地の発生を防ぐ仕組みが、これから議論されていきますが、民間有識者の研究会の統計では、全国に410万ヘクタール、2040年には720万ヘクタールにまで広がる見込みです。都市部でも空き家問題が顕著に現れ社会問題化されています。
相続登記未了の不動産を所有されている方は、この機会に資産の運用を是非ともご検討ください。