取得費加算とは | 誠和不動産販売株式会社
取得費加算とは
著:誠和不動産販売 2021年2月更新
相続により引き継いだものを亡くなった日から3年10ヶ月以内に売却した場合には、所得税の特例を使うことができます。
この特例を取得費加算の特例といいます。この制度は、取得費に相続税を加算してくれます。取得費が増えれば、その分、譲渡所得も減りますので、支払う税金も減ります。すなわち、相続人が支払った相続税のうち、売却したものに対応する部分の相続税が、取得費に加算することができます。
取得費加算の特例を受けるための3つの要件
1. 相続や遺贈により財産を取得した者であること
2. その財産を取得した人に相続税が課税されていること
3. その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年10ヶ月を経過する日までに譲渡していること
【 例 】
■ 相続開始:令和2年4月1日
■ 相続人:子A
■ 相続財産と取得者:土地B(相続税評価額4,000万円)と現預金1,000万円を相続人Aが取得
■ 相続税:160万円
■ 土地Bを相続人Aが令和2年10月1日に5,000万円で売却
■ 土地Bは被相続人が10年前に3,000万円で購入
売却金額 - 購入金額 - 支払った相続税の一部 = 利益部分
売却金額は、5,000万円。
購入金額は、被相続人が買った金額を相続人が引き継ぐことができる為、3,000万円となります。
そして、支払った相続税の一部は前述のこちらの計算式に当てはめて計算します。
相続税160万円 × 土地B(評価額4,000万円)/ 土地B(売却額5,000万円)= 128万円
支払った相続税の一部は128万円となります。これらの数値を計算式にあてはめると、
5,000万円 - 3,000万円 - 128万円 = 1,872万円 が利益部分になります。
次に譲渡税20%(長期保有)をかけると、
1,872万円 × 20% = 約374万円 が税金になります。
仮に、取得費加算の特例を適用しなかった場合は、
5,000万円 - 3,000万円 × 20% = 400万円 の税金がかかっていたことを考えると、約26万円の節税になります。
相続した相続財産を相続開始日から3年10ヶ月以内に売却した場合、相続するために支払った相続税を取得費として売却時にかかる税金から一部控除できるという制度が相続税の取得費加算の特例です。相続で取得された不動産のご売却を考えている方には、良い制度ではないでしょうか。