住宅ローン控除の税制大綱解説 | 誠和不動産販売株式会社

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住宅ローン控除の税制大綱解説

住宅ローン控除の税制大綱解説
著:誠和不動産販売  2021年2月更新

 床面積要件の緩和でマンション購入にメリットが 

 

令和3年度の税制改正大綱で決定された不動産関連の制度の内、『住宅ローン控除』に係るものについてお伝えします。

 

 床面積要件緩和へ 

 

住宅ローン控除を受けるための要件のひとつに『(登記簿記載の)床面積が50㎡以上』があります。
令和3年度の税制改正大綱では、この床面積について、現行の『50㎡以上』から条件付きながら『40㎡以上』とする緩和がされることになりました。

 

この改正の恩恵を一番に受けることができる不動産は、『マンション』です。

 

これまで、特に50㎡を僅かに下回るマンションは『住宅ローン控除を受けることが出来ない』というデメリットを抱えていました。
これは、買主側からすると購入に踏切れない大きな要因であり、またそれは売主側にとってみれば『売りづらい(出口戦略が立てられない)』と同義です。そのような背景もあり、マンションでは同じ棟であっても50㎡を境に相場が大きく変わることも珍しくはありませんでした。

 

マンションの需要には、この『50㎡の壁』を挟んでふたつのグループがあります。
1つ目は50㎡を上回る3(2)LDKのファミリー向けのもの。これは『戸建かマンションか』の選択肢において、マンションサイドの顔として挙げられるものです。

 

そしてもう1つが、40㎡台の1LDKサイズのマンションです。この広さでは、少し狭めの2LDKとしてデザインされることもあるでしょう。今まで、このグループのマンションの境遇は決して良いものではありませんでした。どうしても『住宅ローン控除が使えない』というデメリットは大きな障壁になり得ます。買主側では『もう少し頑張ってより広いグループを購入する』つまりは住宅ローン控除の使えるマンションへニーズを移すか、もしくは『より狭いマンションで妥協する(あるいは購入そのものを見送る)』ことで予算を抑える選択肢へと流れていました。

 

この現状に対して、マンションの供給側では2通りの対応をしていました。

 

1つは『価格を下げる(相場よりも下げる)』、住宅ローン控除が使えない分割安感を出すことで買主側に納得できる理由を提示するというわけです。

 

もう1つは『そもそも50㎡を下回らないようにデザインする』、ファミリー向けの2LDKは住宅ローン控除が使えるように広さを確保し、それ以下のフロアプランは反対に40㎡前半もしくはそれ以下に抑えることで、需要の空白地帯となる50㎡弱の広さを作らないようにしました。

 

50㎡台の2LDKといえば、一般的にはファミリーで住むには『やや狭い』と感じられるものです。
しかしながら、こと都内においては、家族構成や交通事情を勘案した23区内の住宅事情と、上述の床面積需要がマッチしていることもあって、比較的受け入れられていたように見受けられます。(住宅の床面積ニーズについては、【2020年10月号】のコラムも併せてお読みくだされば幸いです)

 

 40㎡台の1LDKも買いやすくなる 

 

今回の改正によって一際脚光を浴びるのは、今まで日の目を見ることの難しかった40㎡台のマンションです。
この広さでは1LDKがメインであるため住宅購入層の多数を占めるファミリー向けとは言い難いものの、DINKSや単身の方々でも『賃貸/購入』の選択肢として検討しやすくなると見込まれるため、マンション市場の活性化に繋がるものと期待されます。

 

『住宅ローンの返済額と現在の家賃を比較してみてください』この言葉に住宅ローン控除が付いたら…と考えると、住宅の購入へ踏み出す大きな後押しになることでしょう。

 

 緩和には条件がある 

 

床面積の緩和は、無条件で適用されるわけではありません。
この改正は、『消費税10%引き上げに伴う特例措置』に付随するものです。

 

令和3年度の税制改正大綱にて、消費税10%が適用される住宅購入において住宅ローン控除期間を13年間(原則は10年間)とする特例措置が令和4年12月末まで延長されました。
この特例が適用される場合に限り、『令和3年1月1日~令和4年12月31日までに入居』する住宅の床面積要件が『40㎡以上』に緩和されます。

 

一番注意する必要があるポイントは『消費税10%』の部分です。
売主が個人の場合(一般的な中古マンションの売買)は、消費税の非課税取引に該当するため、この特例を適用することができません。消費税10%が適用される例としては、『新築マンションの購入』もしくは『リノベーション済マンションの購入』が挙げられます。いずれの場合も、売主が課税業者であればマンション価格に消費税が含まれるため、特例を適用することができます。

 

 まとめ 

 

近年、マンションは高騰する建設費や用地買収コストの増大に悩み、販売価格(総額)を抑えるべく広さをオミットする方向へシフトしてきました。
生み出された50㎡を下回るマンションは長らく『住宅ローン控除が使えない』というデメリットを抱えていましたが、今回の改正で新たな選択肢を得ることができました。
少なくとも、条件付きながら『住宅ローン控除が適用可能』になった恩恵は非常に大きいと言え、本格的な戸建/ファミリー向けマンション購入には未だ至らずとも潜在的な住宅需要を秘めているDINKSや単身の購入希望層の、需要の受け皿になることが期待されます。

 

住宅の購入は、人生に一度きりのイベントではありません。
ライフスタイル・ステージの変化に応じて取り得る選択肢が増えることは、不動産市場の活性化にのみならず、人の人生を豊かにすることに繋がるものです。

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