不動産相続の基本的な流れについて | 誠和不動産販売株式会社
不動産相続の基本的な流れについて
著:誠和不動産販売 2021年5月更新
不動産の相続は、多くの方にとって一生に一度あるかないかの出来事でしょう。そのため、実際に起った時に、手順に迷われる方も多いかと思います。今回は、不動産の相続とは、どのような流れで進むかを解説いたします。
まず被相続人が死亡した場合、7日以内に死亡届の提出が必要です。
提出先は、被相続人の本籍、もしくは住所の登録されている所在地の市役所、区役所、町村役場です。
この場合、世帯主の変更や、国民年金の資格喪失、介護保険証の返納など、すべきことを自治体に合わせて確認しましょう。
合わせて最初に行うことは、相続人の確認です。
この場合、戸籍謄本で、被相続人と、相続人を確認しますので、相続人全員の戸籍謄本を集めましょう。
その他、すぐに行うことが望ましいものとして、遺言書の発見がございます。
遺言書とは、大きく分けると3つの種類があります。
公証役場で保管する『公正証書遺言』は、相続人の照会で存在の有無がわかります。
文章にまとめるのは、公証人であり、公証人と遺言者そして証人2人(いない場合、公証役場の紹介があります)の計4人の立会いが義務です。公正証書遺言のメリットは、まず遺言書の破棄、隠匿、改ざんをされることがないので、遺言者の意志が最も尊重されることです。また、家庭裁判所での検認の手続きがありませんので、相続がスムーズに進みます。
自宅などに保管する『秘密証書遺言』も、公正証書遺言と同じく、公証役場で存在の有無が分かります。
公正証書遺言と違う点は、預け先の他には、遺言書は遺言者が作成する点です。(自書である必要はないため、パソコンなどでの作成も可能)それを署名押印の上、封印した上で、公証人及び、証人2人の前にその封書を提出し、公証人が日付と遺言者の申述を記入し、
遺言者と証人がその後に署名押印をすることで作成します。
しかしこの方法は、本人が残したものだという証明はできるのですが、公証人が遺言書の内容を確認していないため、遺言の内容に不備があったり、遺言自体が無効になる可能性があります。勿論、この方法では遺言の開示は、家庭裁判所で検認をする必要があります。
完全に個人の管理となる『自筆証書遺言』は、実物を相続人はじめ、身内の方で探すしかありません。
ただし、法務局で、自筆証書遺言の保管のための制度があるため、心配な方は、法務局に聞いてみると良いでしょう。
自筆証書遺言は、文字通り自書が要件となっております。
財産の目録以外は、自書で作成しなければならず、パソコンでの遺言書の作成は、無効となります。
書式や訂正方法も定められており、それに従っていない場合、無効になることもあります。
公正証書遺言の相場が約15万円、秘密証書遺言の相場が約1万円なのに対して、自分で書くだけで費用がかからないことが、自筆証書遺言のメリットですが、ご利用の場合は、ご自身で書式や訂正方法などがきちんとルールに従っているか、しっかり確認し、相続人達のトラブルにならないかどうかもきちんと考察した上で残すことが必要と言えます。
遺言書の所在については最初は公証役場に問い合わせるのが良いでしょう。
この場合、遺言者の死亡確認の出来る除籍謄本や、相続人が遺言者との近親であることを証明できるよう、ご自身の戸籍謄本等を持参して行きましょう。当然代理人等を立てる場合は、委任状等が必要になります。これから遺言を残すことをお考えの方は、どの方式で遺言を残すかをしっかり検討しておきましょう。
所在が確認できた場合は、公正証書遺言以外の遺言書の場合、家庭裁判所の検認に移ります。期間の目安はおよそ1ヶ月かかります。
遺言の提出を怠ったり、検認手続の前に遺言書を開封すると、5万円以下の過料を課されますので、ご注意ください。
それが終わると、次に行われるのは被相続人の財産の確認です。これについては、生前に被相続人から話を聞いていない場合、地道に探すしかなく、そういった専門家が探してくれるわけではありません。遺言書がない場合は、基本的には通帳の履歴や、不動産の有無を追っていくことになります。
財産確認が完了した後は、遺言書の有無で手順が変わります。
遺言書がある場合は、家庭裁判所の検認を終えたら、執行に移ります。遺言の執行には、検査済証明書が必要です。
こちらは裁判所で、遺言書1通につき、収入印紙と申立人の印鑑によって発行されます。
逆に遺言書がない場合は、相続人同士の遺産分割協議に入ります。遺産分割協議において必要なのは法定相続人すべての合意です。
この合意が得られなければ、遺産の分割は実行できず、また時効もありません。もし相続人のどなたかが音信不通、所在不明で意志を確認できない場合、『不在者財産管理人』を、家庭裁判所への申請によって、不在者の代わりに遺産分割協議に参加させることが可能です。不在者財産管理人は利害関係のない人物、あるいは弁護士、司法書士を選びます。
遺産分割協議がまとまると、その内容について遺産分割協議書にまとめることが望ましいでしょう。
それと並行して、相続税の申告と納付を行います。亡くなった方の住所を管轄している税務署に対して、申告書を提出し相続税を原則現金一括払いで納付して、終了となります。
逆に協議がまとまらなかった場合、家庭裁判所を介しての、遺産分割調停に入ります。そこで成立すれば調停分割、不成立の場合は、裁判官が最も妥当であると考える分割方法で行う、審判分割となります。
非常にストレスのかかる相続ですが、流れを理解して、相続人になる側の方も、被相続人になるであろう方も、しっかりと準備をしていくことが求められるでしょう。