アパートの立退きは難易度が高い | 誠和不動産販売株式会社
アパートの立退きは難易度が高い
著:誠和不動産販売 2021年5月更新
アパートの建て替えを、考えたことはありますか。
築年数が経ち大掛かりな修繕が必要になる、あるいは入居者の少なくなったアパートを心機一転変えようと思ったとき、そこに立ちはだかるのが『現入居者』の存在です。
勿論、入居者はアパートにとっては必要不可欠でありがたい存在です。
入居率の良い間はそれに重きを置いて、無理に建て替えを考えずとも良いと思います。
そしていつか『建て替えるべきとき』が来たときに、未だ残っている入居者をどのように立ち退かせるか、どのように臨むべきか。
その一端をお伝えしたいと思います。
敵にならない
大前提として、『大家』と『入居者(店子)』は相対する立場です。
ゆえに敵対関係になりがちと言えます。
管理を委託している場合、平時ではその立ち位置を不動産会社が代わってくれているため表面化しづらいものですが、こと『立退き』という場面においてはそれを最大限に活かすことをお勧めします。
さて、立退きにおいて大家の立場では『部屋を明け渡してほしい』、入居者の立場では『住み続ける』と主張の対立が起こります。
このとき、大家の立場としては対立構造を作ってしまうことは望ましくありません。
何故ならば、古くは『北風と太陽』の寓話にもあるように対立構造であればあるほどに入居者の心情は硬化し、結果として大家として得るべき成果『立退き』を得ることが出来なくなってしまうからです。
初手の入り口としては、あくまで『お願い』というスタンスを取ること、これが成功への第一歩と言えます。
建て替えに踏み切る大きな理由のひとつは『建物の老朽化が著しい』ことだと思います。
これを入居者へ最初に、そして一番大きく伝えるのです。
入居者の心情としては、『立退き』というものを前にしたときに『何故?』と思い、まずは守りの姿勢に入ります。
この姿勢を解きほぐすために、大家が(そして入居者も)一番に心配していること『老朽化を何とかしたいと思っている』と歩み寄ることで、入居者の理解を格段に得やすくなります。
間違っても『あなたに出ていってもらいたい』と敵の立ち位置を取ってはなってはなりません。
補償を提示する
立退きの成功においては、入居者への補償も肝要です。
現実的に引っ越しするとなると、そこには多額の費用が必要になります。
入居者が不安に思う最大の要因は『引っ越し費用をどうしよう』ここに尽きることは間違い有りません。大家としては、最低限その費用は全て負担する意思を予め示しておきましょう。
『補償の額はどれくらい提示すれば良いのか?』
一番難しいところで、一概に“いくら”とは言えません。
巷で言われている基準としては『家賃の●ヶ月分』が挙げられますが、明確に決まりがある訳ではなく、ケース・バイ・ケースの対応が求められます。大家サイドでは『家賃10ヶ月~12ヶ月分』を補償する前提でいると安心です。
実際の交渉は立ち位置重要
上記はほんの一端、『立退き』に臨む序の口です。
大家も入居者も人、実際の立退きにおいては利害や感情のぶつかり合いは避け得ないものだと思います。
場合によっては、補償を提示したとしても『金に物を言わせて』と反感を買って余計に拗れてしまうケースも非常に多いものです。一度対立関係になってしまうと、そこから持ち直すのは容易ではありません。不可能といっても過言では無い程です。
だからこそ、『立退き』の現場はプロに任せることを是非ともお勧めします。
『第三者という立ち位置』『利害調整に長けている』『入居者の転居等アフターフォローも担うことができる』これは不動産のプロだからこその技術です。
特に『入居者のフォロー』は立退きには必須で、大家の立退きを成功させるための立ち位置ながら、入居者から『自分の味方』として見做される立ち位置にも収まることの出来るプロがいれば、立退きの道筋は非常にスムーズに見通すことができます。
入居者は、仮に立退きするにしても住み慣れた街で転居を望む傾向にあります。
大家には立退きの成功を。
入居者には立退きの間味方となり、そして住み慣れた街での転居やフォローを。
立退きを成功させるであれば『その街の不動産のプロ』へ是非お声掛けください。