住宅ローンの落とし穴 | 誠和不動産販売株式会社
住宅ローンの落とし穴
著:誠和不動産販売 2020年8月更新
皆様は、『フラット35の不正利用』に関するニュースをご存知でしょうか。
投資用途の不動産購入でありながら、自己居住用の不動産購入に限定されている『フラット35』を利用して購入し、家賃収入を得ていた不動産オーナー。その不正利用を認定されたオーナーが、フラット35を提供する住宅金融支援機構から残債務の一括返済を求められていて、一部は自己破産に追い込まれているようです。
このニュースは、『不動産投資家がフラット35を不正利用した』と見ることもできますが、その背景には悪質な手法で投資用不動産をフラット35で購入させる不動産業者(ブローカー)が存在することが明らかにされつつあります。
そもそも、住宅ローンとはその名の通り個人の居住用不動産『住宅』の購入に使途を限定された商品です。
生活の根幹を為す『衣・食・住』のうち『住』を実現するためのものとして、数多あるローン商品の中でも一際金利の面で優遇されています。
一方で投資用の不動産購入には、投資用ローン(アパートローン等)が別途用意されています。投資…収益を上げることは、生活の根幹には必ずしも必要なものではありません。また、収益を上げるのであれば、それに応じて利息も高くなって然るべき物です。そのため、金融機関は『住宅』の購入には住宅ローンを、投資用不動産の購入には投資用ローンを利用することを大前提としています。
この不正利用においては、次のようなスキームが存在しているようです。
1. 本来の売買契約書とは別に、金融機関提出用の水増しされた契約書が作成されている(二重契約状態)
2. 不動産業者(ブローカー)と購入者(不動産オーナー)との間で、水増しされた金額分に相当する架空のリフォーム契約・諸費用ローン契約などが締結されている
3. 不正に融資された金額は不動産業者(ブローカー)へ渡っている
勿論、不正利用をしてしまった不動産オーナーも、その全てが初めから不正利用をするつもりだったというわけではないでしょう。
甘い誘い文句を受けるきっかけは、投資のセミナーや交流会であることが多いと言われています。
このように、住宅ローン(フラット35)を投資用途に不正利用することを不動産業界では『なんちゃって』と呼称するようで、その手口自体は古くから存在します。悪質な手法、それを利用する業者の存在が第一義的には悪ではありますが、脈々と不正利用のスキームを使っているだけあって、その手口は巧妙です。
本件において、何故不正利用のカモにされた不動産オーナーが住宅金融支援機構から一括返済を求められたか。
それは、機構側から見ると不動産オーナー自身が不正利用をしているように見えていることが大きな要因になっています。不動産オーナーとしてはそのつもりが毛頭なくとも、不動産オーナーに責任があるように組み上がるスキームが出来上がってしまっているのです。
未だに旧態然とした醜悪な面を隠し持つ不動産業界に対して、不動産に関わる如何なる立場であっても、正しい真贋を判断できる知識・眼力を備える必要のある時代です。