相続した土地を譲渡した場合の「相続税の取得費加算」の改正 | 誠和不動産販売株式会社
相続した土地を譲渡した場合の「相続税の取得費加算」の改正
著:金成明洋 2014年3月更新
今回の内容「相続税の取得費加算」の改正は一般的にそれほど注目されていないようですが、
平成27年からの相続税増税とセットで考えると、大きな影響があります。
この「相続税の取得費加算」の制度の概要や改正による影響額についてご紹介します。
1. 「相続税の取得費加算」の概要
相続または遺贈による財産の取得をした個人(その相続または遺贈につき相続税額がある者に限る)が、相続から3年10ヵ月以内に、
その相続財産を譲渡した場合には、その譲渡所得の計算上控除する取得費に、譲渡した財産に対応する相続税額を
加算することができます。
つまり、相続税を納付して取得した相続財産を相続から3年10ヵ月以内に売却する場合、
譲渡にかかる税金(所得税、住民税)について、一定の金額を減額して計算することができるという制度です。
2. 「相続税の取得費加算」の趣旨
相続税を払おうとして手元の現預金が足らない場合、相続した財産(土地や有価証券など)を売却することがあります。
この場合、財産を相続することによりかかる相続税のほかに、相続財産を売却したことによる譲渡税がかかります。
相続により取得した不動産を売却されるお客様に「なんで1つの財産に2回も税金がかかるのか」とよく言われる事があります。
このように、相続税の課税対象となった相続財産を、相続から一定の期間内に売却する場合
(特に相続税の納付のために売却する場合)、相続税と譲渡税が相次いで課されることによる負担を
軽減するために設けられた制度です。
3. 現行の「相続税の取得費加算」
(1) 「相続税の取得費加算」がある場合の譲渡所得の計算
譲渡にかかる所得税等は、売却金額(譲渡収入)からその財産の取得に要した金額(取得費)
および譲渡に要した費用(譲渡費用)を控除した利益部分(譲渡所得)に対して課税されます。
相続税の取得費加算は、譲渡した財産に対応する相続税額を取得費に加算できるため、
その分所得金額が低くなり、譲渡にかかる所得税等も少なくなります。
(2) 相続土地にかかる特例 (平成5年創設)
① は、昨年、会計検査院が「現行制度では、譲渡していない土地等に対応する相続税相当額も取得費に加算されるため、
(1) 現行の計算(相続土地にかかる特例を適用する場合)
(2) 税制改正後の計算(その譲渡した土地等に対応する相続税相当額を取得費として加算)
(3) 相続税が期限後申告であったため、相続税の取得費加算が適用できない場合